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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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35.冒険者vs隊長

 そのファルレナが自分から申し出て、突然の手合わせの審判を務める事に。

「もう……そうやってすぐに物事を決めちゃうんだから」

 トリスとフェリシテから話を聞いたファルレナの様子を見る限り、どうやらこう言う強引な展開は日常茶飯事らしい。

 トレーニングをしている他の騎士団員達の邪魔にならない様に、鍛錬場の隅にある石舞台の上で勝負をする事になった。

 ここではバーレンを始めとした世界各国の、石舞台を使った武術大会に参加する者が、その大会での模擬戦を出来る様になっているのだ。


 その石舞台の上で、リュディガーとカリフォンの2人は鍛錬用に刃を潰したソードレイピアとロングソードをそれぞれ手にして向かい合う。

「勝負は1回ね。相手の武器を飛ばすか、相手に参ったと言わせる。またはこの舞台から相手を落とせれば勝ち。相手を気絶させても良いけど、殺すのまでは無しね。そこまでやらないと思うけど、一応ルールとして伝えておかなきゃ」

「わーってるよ。御前も良いな?」

 カリフォンの確認にリュディガーは無言で頷き、それを見たファルレナが合図を出した。

「じゃあ行くわよ。始め!」

 彼女の声で、冒険者とバーレン皇国騎士団の剣士隊隊長との手合わせがスタート。


 先に踏み込むのはカリフォン。

「攻撃こそ最大の防御」を地で行く彼の剣術は、攻めて攻めて攻めまくる「押し」のスタイルである。

 リュディガーは逆に余り前に出ないスタイルで、反撃のチャンスをじっと窺う。

 割と大振りなカリフォンの攻撃をブロックし、避け、そのモーションから次にどんな攻撃をして来るのかを予想して身体を動かす。

(思っていたよりもスピードも遅いし、攻撃も大振りだが……)

 まだ彼は本気を出していない。

 わざと大振りな攻撃を繰り出す事で自分の様子を窺って、どう言う戦い方をするのかを調べているのだろう、とリュディガーは判断した。


 実力で言えばカリフォンの方が圧倒的に上だろうと考えたリュディガーは、真っ向勝負では勝てないと悟る。

 かと言って騎士団員相手の手合わせで、余り卑怯な手を使うのも何だか気が進まない。

 どうしたものかと考えるリュディガーに、反撃のチャンスがやって来たのはすぐの事だった。

「おらっ!」

 横薙ぎのモーションを利用して左の回し蹴りを繰り出すカリフォンだが、隙が明らかに大きい。

 その回し蹴りを上半身を屈めて回避し、一気にタックルでマウントポジションを取りに行くリュディガーー。


 しかし。

「……!?」

 マウントポジションを取られた筈のカリフォンの口に、それと分かる大きな笑みが浮かんだ。

 リュディガーが戸惑いと驚き、そして少しの恐怖に一瞬動きが止まったのを見逃さず、カリフォンはリュディガーに強烈な頭突き。

「ぐおっ!?」

 思わず反射的に後ろに飛び退くリュディガーだが、頭突きの痛みを逃がそうと手で頭を押さえる。

 そんな彼の両肩に自分の手を置き、カリフォンは自ら後ろに転がりながら足をリュディガーの腹部に押し付け、勢いをつけてリュディガーを投げ飛ばした。

「ぬあっ!」

 浮遊感を身体に感じた直後、背中から石舞台の上……では無くその下の地面に叩き付けられる形になったリュディガーは、余りの衝撃に一瞬呼吸が止まった。

「がは……っ!?」


 息苦しさに身悶えしつつも何とか目を開け、辺りを見渡したリュディガーの目に映ったものは、自分の首筋に向かってロングソードの切っ先を突き付けているカリフォンの姿だった。

「そこまで! カリフォン隊長の勝ち!!」

「おらっ、御前の負けだ」

「……参った」

 これが、ただの傭兵と騎士団で正式な鍛錬を受けた者との違い。

 己の力不足をハッキリと痛感したリュディガーが立ち上がった所に、一緒にイディリークからやって来た3人が駆け寄って来た。


「お兄ちゃん、大丈夫!?」

「結構痛そうだったぞ……」

「治癒魔術掛けるわね」

 フェリシテに治癒魔術を掛けて貰い何とか回復したリュディガーだったが、これでカリフォンとの約束は果たさなければならなくなったらしい。

「じゃ、約束は守って貰うぜ。何処に向かうのかをさっさと決めてくれよな」

 その言い草からもカリフォンの強引な言動が目立つが、こうしてリュディガーが負けてしまったのだから文句は言えない。

「えーと、それじゃ向かうのは……」


 そこまでバルドが言い掛けた時、思わぬ所から次の目的地の提案がなされる。

「ヴィルトディン王国に向かうのはどうだ?」

「え?」

 4人には聞き慣れない声が聞こえて来たので、一斉にそちらの方を向いてみる。

 そこには緑色の髪の毛をしている、カリフォンよりも背の高い男の姿があった。

「えーと……貴方は確か斧隊の……」

「シュソンだ」

 声を掛けて来たのは余り自己主張しないタイプの筈の、斧隊の隊長シュソン・カティレーバー。

 その横には何と魔法剣士隊副隊長のジェクトと、槍隊の隊長であり近衛騎士団長でもあるティレフの姿までもがあった。

「あれ、皆さん揃って如何なさったんです?」

 騎士団の重要人物達が揃って鍛錬場にやって来るなんてどうしたのだろうか? とトリスが疑問に思って問い掛けると、その中のティレフが1冊の本を4人に掲げて見せて来た。

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