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冒険家の子孫の成り上がり  作者: マッハ! ニュージェネレーション
ステージ2(バーレン皇国編):水の皇国
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34.斧隊副長ファルレナ

 リュディガーがカリフォンに連れられてやって来たのは、何人かの騎士団員達がトレーニングをしている最中の、城の中の鍛錬場の1つだった。

 そのトレーニング中の騎士団員達は所属部隊もバラバラだし、男女分け隔て無く手合わせしている者も居る。

 その中で、カリフォンの存在に気が付いた顔見知りが声を掛けて来た。

「あらっ? カリフォン隊長……休暇に出掛けたんじゃなかったの?」

「これから出かけるんだよ。だけどその前にこいつと手合わせだ」

「えっ……ど、どう言う事?」

 声を掛けて来たのは、斧隊の副総隊長を務めている女騎士団員のファルレナ・ローセエットだった。


 弓隊に所属していて、同じ副総隊長の立場にあるアイリーナとは悪くない仲のファルレナ。

 だが、その性格はアイリーナとは正反対なのが特徴であり、明るくオープンで気さくな性格で誰とでも分け隔てなく接するので、騎士団の中でも人気者となっているのが彼女だ。

 ちなみに彼女は童顔に見られる事が多く、初対面の人間に現在34歳であるその年齢を言うと必ずと言って良い程びっくりされてしまうのが、最早定番になっている。


 そんな童顔の彼女が使う武器は大きな両手斧なのだが、普通の女にはなかなか扱う事の出来ない武器でもある。

 ファルレナがどうしてそんな武器を振り回して戦えるのかと言うと、別に魔術で身体強化をしている訳では無く、振り回せる様に日頃からしっかりと鍛えているそのトレーニング量の問題だ。

 愛用の大斧を扱う事が出来る位に鍛えている彼女の腹筋はしっかりと割れているが、女で腹筋を割る位に鍛えると言うのは元々の男女の身体の作りと言うポイントで、尋常じゃない程の時間を費やさなければ不可能だ。

 その尋常じゃない程の時間を身体作りに費やして来たからこそ、腹筋は元より上腕も足腰もまんべんなく全てが鍛え上げられて、大きな両手斧を振り回す事が出来る様になった。

 女でもこれだけ大きな斧を振り回す事が出来るんだぞ、と言う事を実際に戦場でアピールしている事もあって、彼女の努力に関しては他の武器を使う部隊からも一目置かれる程。


 また、ここもアイリーナとは正反対のポイントで料理の腕も抜群であり、騎士団の食堂のメニューの中にも彼女が考えたメニューが幾つか存在している程なのである。

 その料理のテクニックをアイリーナに見込まれたのと、彼女自身もアイリーナの料理にはほとほと嫌気が差していたので自分のテクニックを1から伝授しようとしているが、アイリーナにはどうやら料理のセンスそのものが無い様なのでイライラする事も良くあるらしい。

 現在のアイリーナに対する彼女の目標は「レシピ通りに作らせる」と言う事をまず覚えさせる事で、きちんと材料の分量を量ったり焼き時間や茹で時間をしっかりと計らせたりしているものの、センスの無いアイリーナが料理の腕を上げるのは何時になるだろうと凄く不安でしょうがないと言う。

 それでも仲は悪くないので、ファルレナは彼に根気良く教えている。


 それから彼女は魔術を使う事もあるのだが、その勉強の為に前にシュア王国に留学していた経験がある。

 そこで知り合ったのが、現在ファルス帝国騎士団のルザロの副官で、精鋭騎士団副騎士団長のミアフィンと、シュア王国第3騎士団の副長を務めている隻眼の槍使いで、卑怯な手を嫌うロクウィンであった。

 単純にミアフィンとは留学先で一緒の留学仲間として知り合って、シュアが留学先だったのでその時にひょんな事からロクウィンと出会い仲良くなった。

 現在でも時間があれば何時かは会いたいと思っていたのだが、いかんせん3人がそれぞれ副長ともなるとそれも時間的に厳しいものがあり、たまに手紙を送って近況報告をしている位になる。


 そんな彼女が何故料理が上手いのかと言う事は、ネルディアから離れた場所にある田舎の料理屋が彼女の実家だからであろう。

 子供の頃から仕込みや調理等が人手不足なので手伝わされていた彼女は、半ば無理やりとも言えるその手伝いによって何時の間にか知らず知らずの内に沢山の料理のレパートリーを覚える事に繋がった。

 更にその料理が余ってしまった場合には、残り物を家族が食卓に並べて食べていた為に自然と食べる量も多くなった。

 それが今の斧隊の中で副隊長を務められるだけの、必要な基礎体力の為のエネルギー作りに役立ったと言える。


 元々彼女は騎士団に入る気等これっぽっちも無かったのだが、独り立ちの為に17歳の時にネルディアに来た当時、騎士団に女性騎士団員が多くなって来ていた事で、実家で料理を食べまくって身体が大きくなっていた彼女が騎士団院の目に留まりスカウトされたのだった。

 そして体験と言う事で騎士団員の前で斧を振ってみると、その身体の大きさから繰り出される力強い斧裁きにその時の騎士団員がテクニックにも目をつけた。

 正式にそこでスカウトを受け、特に独り立ちした後の目標が無かった彼女もまた騎士団へのスカウトを承諾したのである。

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