087 ほら、ちゃんとして
「 第一王子カイン 前へ 」
枢機卿が告げる。
カイン王子が聖剣エクスカリバンを手に前に出る。
「強制ステータスオープン」
「ローラン 人族 LEVEL:42 HP:1/2456 所属:辺境騎士団」
「構えよ!」
枢機卿が告げる。
「い、いやだ!いやだよ!僕嫌だ!」
カインは叫んだ。
「人を殺したくなんかない!人を殺したくなんかないんだ!わーーーん」
カインは聖剣を捨て泣わめいた。
「構えよ!」
枢機卿が冷たく言い放つ。
「カイン!だめよ!がんばって!」
「カインよ!わしはお前に王を継いでもらいたいんじゃ。甘えるな!そら!」
王妃と教皇はカインを無理やり立たせ、聖剣をもたせる。
「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
僕、あの時、よく分からなくて言われたとおりにやって、あの冒険者のおにいさんがうごかなくなって」
「これ!カイン!しっかり。強くなりなさい!」
「そうだ!王は強くなければならん!カイン!」
「そら。あのとき得たシャインブレードだって使えるだろ!カインお前は強い子だ!」
「やだよやだよやだよやだよはなして!ちちうえ!ははうえ!」
「スキルなんかいらない!ステータスなんかどうでもいい!」
「なにをいうか!馬鹿者!」
「ほらちゃんとして!カインちゃん!」
「殺したくない殺したくない殺したくない」
枢機卿の頭に「殺したくない」が響く。
「・・・・・メロディア」
「メロディア、ちゃんと殺しなさい。そうすれば一緒にいられた」
枢機卿はそう言って、カイン王子の手をつかんで無理やり構えさせた。
「やめて、やめてやめて!」
「そら、一緒に殺そう メロディア」
子供の手と聖剣をつかんで、振り下ろした。
辺境騎士団員ローランのステータスパネルは消滅し、カイン王子のレベルが上がった。
「さあ次だ!ミキザ手伝え!」
「おう!」
勇者と枢機卿以外は、枢機卿プラウディオの狂気に震えた。
子どもたちは泣きわめきたいが怖くて必死に声を抑えている。
母親たちも顔面蒼白である。
ガンガンとシェルターの外から振動が伝わってきたが問題ない。
式典は進む。




