069 熊獣人の長
「この辺だべ! アニキ!カーちゃん!」
ボブは数時間とんでもない速さで走り続け、ようやくスピードを落とした。
少し遅れてワンチャンがハアハア言いながら追いついてきた。
「うえいヒ」「はヒ」「ピ」
「ボブタン様、速すぎませんか。俺でさえこれだ・・はあ」
ボブにしがみついていたオツヤとカタリアはへとへとだ。
カタリアは右手でオツヤに、左手で自分にヒール。
器用な巫女である。
元気なのはオツヤの頭に乗っていたフライヤとボブだけである。
「ピピピピ!」
フライヤが突如、道の先に飛び立つ。
飛び立った先で声が聞こえた。
「痛い痛い」
フライヤが毛を咥えて戻ってきた。黒い癖毛。
「あ、にいちゃん!」
ボブの目線の先に一人の人物が、立っている。
背は170センチちょっとありそうだが、やせ型、なで肩で猫背な黒い獣人である。
「無事だったかや! ネグセにいちゃん!」
駆けだして怪力で抱きしめようとするボブ。
さらりとかわして、
「ボブじゃないか!よう戻ってきた!」
と言いながらボブのタックルをひょいひょいとかわし続ける寝ぐせ頭。
元A級冒険者、現クマチャン村代表 ネグセであった。
ボブのベアハックを器用にかわす動きを止めず一行に挨拶をするネグセ。
「ボブがお世話になっております。クマチャン村へようこそ!あれ?俺?」
「こんにちは?オツヤです???僕?」
二人は人間族と獣人でありながら、そっくりだった。
よく見ると耳と尻尾は違うのだが。
「はっははっはは!オツヤ様そっくりでさ!はっはっは!!!!」ワンチャン爆笑。
「こっ、これ。ワンチャン!失礼ですよっぷ!」こらえきれないカタリア。
「な!そっくりやろアニキと兄ちゃん!」ドヤるボブ。
「ピ!」フライヤも同意した。
今のところネグセの無事を確認した一行は村に招かれた。
「オカッパ」「ツーブロ」「カリアゲ」「ワンレン」「アフロ」「モヒカン」
クマチャン村の皆の名前は覚えやすかった。
「オツヤです」「カタリアです」「ワンチャンです」
「わはは ソンチョふたりいる!」
オツヤとネグセを見比べて子供たちは喜んでいる。
「ワンチャンは犬人族村出身か?テツヤさんは元気かな」
「え、テツヤさんご存じなんで?」
「俺の合気のシショーだし、村の名前もみんなの名前もシショーがくれた」
「おお兄弟子でしたか!」
「それと、カタリア?似てるな、もしかしてカタルトの妹か?シャインブレードのカタルト」
「え、兄をご存じですか?」
「おう。何度か一緒にダンジョンに潜った。強かったな。でもたしか地龍のミッションで・・あ、すまん」
「いいんです。で、実はそのことなんですが・・」




