067 続 割り振り上手の枢機卿さん
枢機卿は、自室の魔法陣の中央に座し意識を集中していた。
その前に、他の『恵皇の大儀 』の段取りは済ませてある。
勇者イヤミキザに五本の聖剣への聖気チャージを命じた。
前回の『恵みの儀』で使用した量産型簡易聖剣ではない。教国に伝わる本物の聖剣だ。
これに、事前に勇者の聖気を充填する必要がある。
特に、第一王子に持たせるエクスカリバンには、フルチャージを指示した。
狂奔の贄と理知の贄、複数回の使用と、今回の目玉、SSS魔獣を確実に贄とせねばならないからだ。
特殊体なのかHPを1に削れなかった。
ミキザの暴慢さは変わらぬがハーレムに出向いていない。
「クソ女が」何か女のことであったようだ。そのぶん遠慮なく仕事を割り振った。
大司教と勇者に「狂奔の贄」と、確保済みの「理知の贄」のシェルターへの移送も指示した。
シェルターの門を開けることができるのは、ステータスパネルに「教皇、賢者、勇者、大司教」の称号を継ぐ者だけ。
移送は通常、賢者である枢機卿が行うのだが今回は緊急事態である。
教国王城周辺の警備には、近衛騎士団、警備隊だけでなく、ククロビンを引き続き配置し監視させた。
異常時には勇者と二人でことにあたらせる。
またガリクソンに「首都周辺に熊獣人らしきものの目撃があった」と偽情報を与え、テロ犯急襲への守りを盤石にした。
枢機卿は、最後の一人、元A級冒険者の確保に集中する。
いまだ狂気が完全には収まりきらぬが、「メロを探しに行く」となだめたマングラと枢機卿自ら出向き確実に確保する。
戦力としては過剰なほどであるが失敗は許されない。
標的は、出身地の族長となるために引退した熊獣人の元冒険者である。
一度ギルド長に紹介されたため覚えていたのだ。
姿も気も非常に特徴的であったため集中すれば魔力スキャンして場所の特定ができる。
奇遇にもテロ犯と同じ熊獣人であるが外見がまるで熊獣人ではないためテロ犯の可能性はない。
枢機卿は再び意識を集中した。




