057 夜空よ今夜はありがとう
「ドーーーーーーーーン!」
夜空に閃光がきらめくと、ステート川の広い水面に反射した。
少し遅れて、爆音がこだまする。
白煙と、火薬の匂いがする。
「タマヤーーー!」「ガギヤーーーーーー!」
ワンチャンが大きな声をあげる。
キラキラと花火が夜空に大輪を咲かせる。
オツヤたち一行は、祭りの最後の花火を特等席でみていた。
町長から、お土産にと、いっぱいの食べ物や特産品をいただいた。
急げば、拠点の木材置き場には1日でつくのだが、一行はだれが言い出したわけでもなく祭りに参加していた。
皆なんとなく、少し遠回りしたかった雰囲気だったのだ。
祭りの入場口では、警備隊の服を着た使徒のひとりがステータスを見せて楽々通過した。
彼は、裏ギルドから警備隊に潜入して草の役割を担っていたので、ステータスにはいまだ「所属 教国警備隊」が残っていた。
まだ本物の警備隊員でもある。
「二つ名 13使徒」は、特に気にも留められなかった。
一行が演奏する「はじまりの1」(祭りばやしバージョン)は評判がよく、何度もアンコールされ、観客も一緒に歌い踊って盛り上がった。
最後にはカタリアがソロでオリジナルバージョンを披露し、観客たちは優しく美しい旋律に涙を流した。
感涙する町長から「来年も絶対きて下され! いや、毎月の町民定期コンサートにぜひお願いします!」と熱望され、両手を激しく握られたオツヤは、
「は、はい」
とつい言ってしまった。責任とれよ。
そして入手困難と首都でも争奪戦が噂される、花火大会のプレミアム升席に招かれた。
「ワンチャンさん、そのタマヤーカギヤーーーってなんですか?」
「あぁ、おれのいた村にもオツヤ様と同じく転生者がいたんでさ。
爺さんでテツヤって名前で、いつも寝不足だった。
いろいろ面白い話をしてくれたんだ。
そのひとが村の花火大会の時は、タマヤーカギヤーっていうのが威勢良くて皆まねしたんでさ。
俺の名前つけてくれたのもテツヤさんだそうです」
いろいろな世界があって、いろいろな縁があるんだなと、オツヤは思った。
皆はワンチャンの真似をして、
「タマヤーーー!」「ガギヤーーーーーー!」
と夜空に叫んだ。
さて帰ろうか。皆が思った。




