051 悲劇7
突然の崩落であった。
オサジイのレンガ造りの家の天井が、崩れ落ちてきた。
ガリクソンはプラウダと、彼女にヒールをかけ続けるカタリアをかばうように体を入れる。
ボブは、気絶したままのオツヤの体に覆いかぶさる。
使徒たちのうち力の強い者は弱い者をかばうような位置取りをし、オサジイも使徒のひとりが守ろうとした。
しかし、オサジイは必死の形相で、奥の間に駆けだしてしまった。
「ガッ!」
ガリクソンが気を発すると、落下中のレンガ片は空中で軌道を変え、外に吹き飛ぶ。
しかし、吹き飛んで開けた空中の視界に、巨大な岩石が2つあった。
スローモーションのような錯覚。
2つの巨大な岩石は、少しの時間差で重力に従って迫ってくる。
破壊しないように両手でクッションをつけるように調整しながら、ガリクソンは最初の巨大な岩石を受け止め、無害な場所に放り投げようとしたが。
足場がその重さに支えきれず崩壊し、体勢が崩れた。
「ダメか! 護り切れん」
岩石が、プラウダのほうに傾く。
「ステータスオープン」
一瞬で世界の序列が変化した。
崩れかけた足場の代わりに、何か超硬質な板がガリクソンの足を支えた。
巨大な岩石の運動エネルギーをすべて預けても、新しい足場は1ミリも動かない。
同時にドス黒い暗黒の気を感じたが、無視して力を込め、岩石を安全圏に放り投げた。
しかし、次の大岩石が迫る。間に合わない。
「ステータスクローズ」
「ステータスオープン」
ガリクソンを支えていた頑強な何かが、一瞬で消失。
迫りくる第2の岩石塊の前に、漆黒の板が現出した。
暗黒の板に衝突した岩石塊は、すべてのエネルギーを無くしたかの如く静止した。
かけら一つ落ちてこない。
物理現象としてありうるのか?
静止した岩石は、ゼロになったエネルギーから思い出したようにゆっくりと動きを再開したが、熊の獣人の女が支え、安全圏に運んだ。
重厚感のある金属質の板からドス黒い気が放たれ、周囲を暗黒界に変容させている。
「なんだ、これは、別世界の魔王か、魔神か・・」
「おお、ご本尊様!」「救世の暗黒神様!」「救世の暗黒神様!」「救世の暗黒神様!」
使徒と呼ばれていた者たちと、ヒールをしてくれた女が、その邪悪な気を放つ漆黒板をたたえている。
「打ち滅ぼすべきか。いや、これに俺は勝てるのか?」
教国の守護戦神ガリクソンは、50にして初めて己の強さを疑った。
宙に浮かぶ巨大な漆黒の板には、何度も引掻き切刻んだような怨念を思わす深紅の血文字が浮かんでいた。
「オツヤ 人族 28歳
LEVEL:1
HP:5 / 5
MP:1
STR:1
特記:【世界最強のステータスパネル保持】 」
「・・・ガリさん、あんまり見ないでください。恥ずかしいので。
ステータスクローズ」
一瞬でドス黒い気とともに、魔神のような板は消えた。




