005 いざギルド登録 ~やっぱり絡まれる
三階建ての木製ではあるがしっかりした作りの建物がギルドであった。
重厚感のある木製ドアを開けると、いくつかの視線が刺さる。
女の子にかかえられたままへばっている貧相な男に。
結局痛みが取れず、びっこを引きながらしか歩けないオツヤをボブがギルドまで抱えてきたのだ。
ボブには微塵の疲れも見えない。
ギルドは入って左側が受付カウンター等の事務スペース、右が冒険者の待合所になっている。
中央には1本の丸太を刻んだような大きな机がドカンと構えている。
待合所という名の酒場からは煙草と安酒のにおいが漂い、二十人近くの冒険者たちが好き好きに時間をつぶしていた。
「おいおい。ボブ。なんだいそいつは、盗人でもつかまえてきたのか?ずいぶん弱そうな野郎だな。おい」
赤ら顔のマッチョマンがボブに絡んできた。
受付カウンターの銀髪美人職員が一瞬ボブとオツヤに冷めた目線を送る。
「スティーブさんよ! おらのアニキになんか文句あるか?」
ボブはギロっと睨み返すが目がつぶらであまり迫力がない。しかし目線は外さない。
「アニキ。ちょっとここすわっといてくれよ。冒険者はなめられたらあかん」
オツヤは中央の大きく頑丈な机のはしに置かれちょこん正座した。
「はひっ」
「はっは何だよそいつ。ダンジョンで見つかったサルのミイラかと思ったぜ」
スティーブが囃し立て、皆が爆笑する。
ボブが右手を中央机におく。
「おい!おらと決闘だ。スティーブ」
「はは俺に勝てるとでも思ってるのか。クソアマ。調子に乗りやがって」
スティーブが入れ墨だらけの右手をグルグル振り回す。
そして大机を挟んで両者が右手を前に差しだした。
これがギルド内での伝統的決闘。いわゆるアームレスリングである。
この大机は数百年前のギルド開設時から数え切れない決闘の舞台となった伝統の机なのだ。
S級モンスター・ジェネラルトレントの巨大な幹を当時の勇者が聖剣にて切り刻んだ塊をそのまま机として利用している。どれだけの強者が力比べをしても傷一つつかない。ギルドの名物となっている。
今、その端に足が立たない貧弱な青年が正座をし、中央で二人の力自慢が対峙した。
スティーブ「ものども見よ!我が驚異の筋力値は45! ステータスオープン!!」
ボブ「ステータスオープン!」
この国ではお互いのステータスを誇示することから決闘が始まる。
水色に光る半透明のニ枚のステータスパネルが両者に重なりながら現れる。
パネルは視野に入るすべての者に可読できる。見えるだけで触れない。すり抜ける。
「スティーブ 人族
LEVEL18
HP40
STR45 称号 筋バカ 」
「ボブ 熊人族
LEVEL14
HP32
STR180 愛称 ボブたん 」
「お、おれの4倍だと!」
「うををををお!!!」「何だよ。筋力180ってみたことないぜ!」
「筋バカ負けるなバカ!」「ボブたんに1杯かけるぜ」「おれ5杯だ」
「バカ推しするバカいねえのか!」「(ひーーー怖いよ近いよ)」
「まったくこの忙しいのに」
審判はキルド職員がする決まりのようで、銀髪キツ目の美人がカウンターから出てきて執り行う。
「レディ ゴー」
ステータスの差で勝負にならなかった。一瞬で腕を机にたたきつけられたスティーブは痛みのためのたうち回った。
「勝者ボブ」
冷めた声で受付嬢が宣言する。
「うぉー」「ボブたん!」「賭けになんねー」「とりあえず飲め!」
「アニキ!!!!勝ったよ!」(抱き着く)
「ボブさん痛い怖いひえーーー」(ボキボキ)
「で、あなたはいったい何の御用かしら?」
大机の上で正座したままボブに抱き着かれ震えている男に、冷たい目をした美人さんがつまらなそうに尋ねてきた。
★【全話執筆完了】完結まで単行本約1巻分【毎日更新】
★ 初日は6話更新 10分間隔で001~006話




