039 怪談? 会談? 怪奇譚
歩くオツヤ一行。
メンバーは、オツヤ、カタリア、ボブ。
元裏ギルド・13使徒のうち、10名を選抜した。
3人を拠点に残し、河川領域での不慮の事態に備えたのだ。
薬物のエキスパート、フィジカルに長けたエキスパート、技術畑のエキスパート。
13使徒は個々の戦闘力だけでなく、特殊技能も大いに心強い存在である。
それぞれが貢物から物資や食料を手分けして持っている。
ボブは荷物じゃなくて、カタリアとオツヤを持つ係のようだ。
二人はボブの両肩にしがみついている。
先導を務めるのは、スラム出身のペトロンである。
「なんか変ですぜ・・・」
ペトロンの案内で比較的大きな街道から山道に入り込み、しばらく進んだところで、ペトロンは止まった。
それまで鬱蒼とした雑木林であったところが、いつの間にか花畑のようになっていた。
ペトロンの記憶と異なる。
しかも雰囲気の暗い紅い花びらは、周囲を闇に堕とすようだ。
地獄に花が咲くとしたら、こんな薔薇だろう。
「久しぶりだけど、道順に間違いはねえ。
いくらなんでも、こんなに変わるものか?」
「オツヤ様、もしかして、ほーーーんのちょっとだけご本尊様出されましたか?
なんか気を感じます。強大だけど抑制されて、すこーしだけ漏れているような気・・」
「え、だ、出して無いです。僕じゃない僕じゃない」
「マジっすか。じゃあこれはいったい」
皆が顔を見合わせる。
もしかして・・・。
「ウエッ ウエッ ウエッ」
どこからか、女のすすり泣く声が聞こえてきた。
「ヒーーーーーッ お化け?」
「おらおばけはちょっと苦手」
「ウヘッ」
皆の顔が青ざめた。普段のオツヤのような顔色だ。
周囲は恐ろしく血の色をした花々が咲き乱れている。
「みなさん。おちつきなさい」
カタリアが言う。
「オバケではないわ。ほらあっち奥のほうに誰かいるみたい」
彼女が指さした先には、ピンク色の物体?
よく見ると、大きなリュックを背負った女性が体育座りをして肩を震わせている。
リュックも服装もピンクなので、よく見ないと人だとわかりにくい。
「認識阻害!?」
使徒の一人が警戒の声を発した。
「エロナンカジャナイモン エロナンカジャナイモン エロナンカジャナイモン」
彼女の声と同時に、赤い鮮血の薔薇が周囲に増殖する。
「呪文を唱えている! 『悪魔系魔術呪文エロイム』の派生応用! 結界魔法を!」
当たってないけどかなり正解に近いぞ。さすが使徒。
「まって! なんか泣いてるよ。この女の人」
オツヤが言う。
「おばけじゃ無いなら、おら平気だ。
どうしたべ。そんなに泣いちゃって!」
ボブが「スタタタタ」と駆け出し、ピンクの女の傍へきて肩に手をやる。
当然、ボブの肩に乗ったオツヤとカタリアも大接近。
「ヒーーーーッ(近いよ。人間も怖い)」
「あなた、どうしました? あら可愛い(バッグからはみでたパンダのぬいぐるみを見て)」
「あ、可愛い? ・・・可愛い! ・・・可愛い♡」
カタリアの一言は、勇者が魔王に与えたクリティカルダメージを一瞬で回復させた。
これが、暗黒神の巫女の力か!
「で、ねえ。オツヤン? アーちゃん。ボブりん!」
「おらゴブリンちがう! もぐもぐ」
すっかりご機嫌を取り戻したリズは、初めて人間の友達ができたようだ。
リズに勧められるままに、一緒にイカ焼き、たこ焼き、箸まき、りんご飴などを皆で食べ、楽しい森のお茶会の時間が過ぎていく。
警戒を怠らない使徒たちだったが、無邪気でセクシーな自称冒険者、リズの笑顔に触れ、次第に仲良くなっていった。




