038 誰に殺し矢 ククロビン
ユナイテッドステータス王城大聖堂の尖塔は、権力の誇示のため教皇が巨費を投じ、必要以上に高く建造された。
その頂点は、地上からぴったり200mとなる。
首都全体を一望できるそこからの眺めを楽しむのは、羽を休める鳥たちくらいなものである。
日が昇る直前の朝焼けの絶景を楽しむ小鳥たちは、昨日から塔の高さが201.65mになっているのに気づかない。
先端には完全に気配を消した身長165cmのククロビンが、無機物の塔と一体化して直立していた。
肩に、頭に、小鳥たちが止まっている。
「そこ!」
ククロビンは突如、宙に矢を射った。
鳥たちは急に現れた殺気に驚き、一斉に飛び立っていく。
射った先の空中は何も的がないように見えるが、ほんの少しの揺らぎをククロビンは見逃さなかった。
「ギャッ」
見えない何かに、矢が刺さる。
もう一矢、射出される。
「超弓術 付与属性 ホーミング」
2本目の矢は、曲線を描きながら、高速で逃げ回っているだろう見えない標的を追跡し、何回かの方向転換をしたのち、高度50m付近で標的を刺した。
「付与属性 キャプチャ」
刺さった矢から黄色い光の網が発生し、的を包む。
捕らえられた見えない何かが、地上に落下した。
――ドスン。
隠蔽スキルが切れていくのか、標的は徐々にその姿を現す。
そこへ、ふわりとククロビンが降り立つ。
「これは、面白い土産ができたなクク」




