037 魔王 VS 勇者
「ピーピーヒャララ ピーヒャララ♪ ドンドン テケテン チャンチャラ ドン♪」
祭りばやしの笛の音、締太鼓と鐘の軽快な響きは魔王領では味わえない。
「ぐほーーーーたまらんのじゃ!」
全身ピンクのぴちぴちボディスーツ、背にはピンクのデリバリーバッグ。
バッグに無理やり突っ込んだリンゴ飴、色とりどりのスプレッドがかかったチョコバナナ、パンダのぬいぐるみ、ピンクの戦隊の面、羽子板、柄の長いうちわ、露店の品が雑多にあふれてこぼれそうである。
両手はイカ焼き、フランク、棒巻お好み焼き、口にはベビーカステラを咥えている。
「リズ 人族 職業:冒険者
LEVEL:9
HP:99
MP:99
STR:99
保有スキル:恋の魔法
特記:世界最かわ♡」
出しっぱなしのステータスパネル。
ある意味オツヤのレベル1より恥ずかしい。
出発時より変態が強化されたスーパー痴女である。(ただし超絶美女)
超目立っている。
祭りの晴れ衣装を着た客たちですら、この変態オーラの前では地味なものだ。
人通りは多いのだが、みな変態から距離を空けているので非常に動きやすい。
さらに興奮してるので抑えているはずの魔力が微量にもれだし、彼女の通った足跡には真っ赤なバラの形をした魔力塊がボコボコと発生して道を埋めている。
攻撃的な危険はないのだが『鮮血の赤薔薇』は見た目禍々しく人々をぎょっとさせている。
男たちは、その超絶淫美なボディラインについ目を奪われながらも、
「あれはだめだあれは危険だ」
と命と性欲を天秤にかけ、結局生存本能を優先させ遠巻きに見るだけにとどめている。
生命維持のための本能的な欲求が最優先されるのはこの世界も同じであった。
彼女に声をかけてくるものはいない。
「いよほほ。いいねえ。ねえちゃん。いいねーーーたまんないね!!!プリプリヒップだね!」
いた。
後ろから声をかけてきたのは、両脇に夜鷹か遊女か、派手な女を侍らせたキザったらしいハーフエルフの男である。
「エロエロじゃねえの? ドエロじゃねえの?ウッハーーーーッ!!!さそってる?さそってる?」
「ヤバッ!」
超神速で、痴女は戦隊モノのピンクの面で顔を隠していた。
その本気の動きは音速を優に超え光速にせまる。勇者とて集中しなければ認識できない。
「ちょっと旦那!そんな変態女にかまわないでくださいな。わたしたちがいるじゃありませんか」
「そうですよ勇者の旦那。変態はほおっておいてわたしたちといいことしましょ」
「うっせいよ。おまえら!どっかいけ!変態最高じゃねえか!
見ろよあの体!エロがエロエロ爆発ボディだぜ!あんなエロい女みたことねえ。
おめえらとは段違いだ!」
「よう、エロねえちゃん!リズって言うんだな。惚れたぜ!俺とエロエロしようぜ!
なんならステータスだってすぐS級にしてやるぜ!
おいそのお面はずしてエロい顔をみせておくれ」
イヤミ キザは勇者の最大速度でリズの眼前に移動し面に手をかけ、
「だれがエロじゃーーーーい!」
手をかけられなかった。
教国最強の勇者はレベル9の痴女にカウンターを食らい空の彼方にふっとんだ。
「イヤ ミキザ ハーフエルフ 勇者
LEVEL:83
HP:23 / 7250」
「ちくしょー リズはエロくなんかないやい!激かわ♡なの!ウエーーーン(号泣)」
勇者は世界最強の魔王に強烈な精神ダメージを与えた。
こうして勇者と魔王の戦いは引き分けに終わった。




