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035 饅頭と怖い男
街道からはなれ、雑木が茂り整備されていない鬱蒼とした細道だというのに、猛スピードで駆ける馬がいた。
むしろ荒れた道のほうが慣れているのだ。
「ドドドドッドドドドッドドドドッドドドドッ」
地響きをたてて走る巨馬には、二人の鎧騎士が乗っている。
巨馬にまけず大柄な男と、小柄な男だ。
「ヒーーーン」
「よし、ここで降りるぞ。
悪いがここで馬と装備を見張っておいてくれ」
「承知しました。団長」
団長と呼ばれた男は、巨体に似合わぬ器用さですばやく兜を外し、鎧を脱ぎ、ランスとともに小柄な男に預ける。
「グエ 重いっすね」
鎧を外した男の体は、無数の傷におおわれた筋肉であった。
器具トレーニングではなく、実戦で纏った筋肉の鎧。
髪と不精な口ひげをちょこちょこと整えながら、
「せっかく南に戻ってきたのだから、任務前にあいつの墓を拝んでおかないとな。
おい、饅頭」
小柄な騎士から、饅頭の包みを受け取る。
「では2時間ほどで戻るから。
あと住民がとおってもステータスパネルは出すなよ。ここでは御法度だ」
大男は饅頭の包みを片手にぷらぷらさせて、なめらかな足取りで、獣道のような道なき道を山中にすすんだ。
この先はスラムである。




