034 13使徒 ~はじまりの1のこころがあればよいのです~
オツヤたち3人のサバイバル生活は、とてもサバイバルとは言えない様相である。
「これ食べて。おいしいよ」
「ふとんはこっちでよかね?」
「りんごもってきた」
信者たちが、入れ替わり立ち代わり、警備団の勤務時間外は木材置き場に入り浸っている。
しかもみな「手ぶらじゃあれだけん」と、何か手に貢物をもっている。
さらに大工の経験がある者が、豊富な木材を使い、大きな屋根付きのログハウスのようなものを作り出した。
警備団の家族で本業の大工が参加し、工事は加速する。
力仕事が大好きなボブも大活躍である。
もともと細かな生活用品は、カタリアが収納して持ち運んでいるので、生活にそこまで困ることはなかった。
いよいよ金品を差し出す者もあらわれる。
カタリアがやんわりとお断りを入れると、逆に悲しい顔をするので、生活状況を聞き取り無理ではないごく少額を受け取った。
それでも、毎日毎日つもるとそれなりの金額になる。使いようもなく貯まっていく。
さらに、
「ご神像はないだかや」
「お札は売ってないのん」
「暗黒神ミドルネームなどつけてもらえる。ボーナス全部出すんべ」
などと、信者のほうからなにかと妙な商品を欲しがるのだが。
カタリアは、
「捨てなさい。虚飾を捨てなさい。
はじまりの1のこころがあればよいのですよ」
と提案をすべて却下している。
そして、暗黒神の依り代様・オツヤは、
片隅で吐いていた。
「うげーーーーー」
当然の人酔いである。みなさんほっといてあげてください。
「オツヤ様。おいたわしや。 ――生活魔法 ヒール」
収納からのオエ袋も忘れない。できる巫女である。
実務の取り仕切りは、元裏ギルドの13名がいかんなく才を発揮した。
もともとA級冒険者以上の実力がある裏のエリートたちである。
毒係の薬学、魔術の才能のあるもの、体術に特に秀発したものと、なかなかの心強さである。
彼らのステータスパネルには、誰が言い始めたか知らないが、いつのまにか二つ名が追加されていた。
――「13使徒」と。
元裏ギルド、13使徒のひとり、ペトロンがオツヤたちのところにやってきた。
「巫女様、オツヤ様、ボブタン様。ちょっと相談してえことがありやして・・・」
ペトロンはこのステート川拠点から、すこし離れた山中にあるスラムの出身とのことである。
そこから生きていくために町に出て盗みを働くうちに、その腕をキュウビに見初められ裏ギルドに入った。
その後は組織の秘密保持と規律があり、スラムに帰ることはできなかった。
当時からかなり厳しい生活環境であったが、そこではステータスにとらわれず、皆が肩を寄せ合って生き延びていた。
彼らの安否が気になるのもあるが、彼らにも暗黒神様の存在を知ってもらい、前を向いて生きてほしいとの願いである。
彼らは社会から捨てられた存在であった。
ステータスが低く、生まれも最下級であったり、犯罪者として追放されたり。
スキルを持つものも幾人かいるが、時代遅れの魔道具にとってかわられた生産系の低スキルがほとんどで、または何のために役立つのかもわからないバグのようなスキルだけであった。
それでも彼らは必死に生きようとしていた。
だが、もう全員死んでいてもおかしくない。
生きていれば救いたい。ペトロンの必死の願いであった。
「グズッグズッグズッズズズズ・・・。ひどいね。ひどいよ」
「オツヤ様 まいりましょう!」
「いくべ!」




