026 勇者たちの狩り ~天空の殺し矢
ユナイテッドステータス教国・最北端にそびえるタカーオ山脈は、魔獣の巣窟として有名である。
国全体では近年魔獣の乱獲がすすみ、その減少が問題視されているが、タカーオ山脈は今もまだ人の手がつかぬ魔獣天国である。
まず、山道すら途切れがちな険しい地形、足場のままならぬ中、死角より襲い来る魔獣の数と強さ。
一定以上の強さのレベルがないと、入山すらままならぬ自然の要塞である。
その山頂付近は、ワイバーンをはじめとする飛竜の群生地となっていた。
名誉とステータスアップを夢に頂上をめざす騎士や冒険者を幾人も葬り去ってきた歴史を、転がる人骨の山が物語る。
その空中にブワワワワと振動する光の輪が浮かぶ。
中からオレンジ色の鳥翼をもつ人物が現れた。
羽を広げ、空中にホバリングし、弓を構える。
「グギャー!!!!!」「ギヤギヤギヤギヤギヤギヤギヤギヤ」「グギャ」
突如空中に現れ、群れのテリトリーを侵した者に、ワイバーンたちは容赦なく襲い掛かる。
「クク! 超弓術 マルチストレイフ」
素早く一本の矢を射る。
するとそれは、空中でまず数本に分かれ、さらにその一つ一つがまた数本に分かれ、指数関数的に数を増やす。
結果、一本の矢にてワイバーンの群れはすべて墜落。
まさに神業である。
「グゲゲ」
落下したワイバーンたちは、突如襲った痛みに苦しんでる。
しかし、死んだ個体は無いようだ。
「殺さないように急所を外すほうが難しいんだよクク」
ブワワワワと、また光の輪が浮かび一人出てくる。
翼はないが浮遊している。
「流石だな、ククロビン。お前が一番早いよ。
さて――『強制ステータスオープン』
『強制ステータスオープン』『強制ステータスオープン』『強制ステータスオープン』
『強制ステータスオープン』『強制ステータスオープン』『強制ステータスオープン』
『強制ステータスオープン』『強制ステータスオープン』『強制ステータスオープン』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『強制ステータスオープン』」
「ワイバーン A級魔獣 LEVEL34 HP:138/1620」
「ワイバーン A級魔獣 LEVEL31 HP:437/1501」
「ワイバーン A級魔獣 LEVEL38 HP:560/1820」
「レッサーワイバーン B級魔獣 LEVEL21 HP:15/724」
「グレートワイバーン AA級魔獣 LEVEL42 HP:1250/2800」
「ワイバーン A級魔獣 LEVEL30 HP:85/1024」
・・・・・・・・・・・・・
落ちもだえるワイバーンたちの頭上に、青白いステータスパネルが出現する。
「ククロビン 鳥人族 SS級冒険者 勇者パーティ所属
LEVEL:68
HP:2300
MP:1200
DEX:8400
二つ名 天空の殺し矢
所有スキル 超弓術 」
「おい、拙者のパネルを出さなくてもいいだろう。枢機卿」
「お前だけ省くのが難しいのだよ。ククロビンよ」
「クク拙者の矢と同じでまだまだ修行不足だな」
「これからだぞ。全部HP1まで削るんだ。
それからわしの結界と空間魔法で移動させる」
「無茶言ってくれるぜ。まあ拙者ならできるがな。
殺せないのはつまらんがクク」
ブワワワワ
プラウディオ枢機卿は、あわただしく光の輪に消えた。




