024 魔王リリスヴィーナの憂鬱(前編)
「魔王様!」「魔王様!」「魔王様!」「お姿をお現し下さい!」
イフリー炎将軍、フロストス氷将軍、ロメーロ死霊将軍、アンドレザ巨人将軍の四天王をはじめとする魔王軍の重鎮たちは、魔王の説得にことごとく失敗した。
魔王室の固く閉ざされた扉は、魔王城の魔力回路により鉄壁の硬さをもつ。
軍一の怪力を誇る巨人アンドレザでさえ、こじ開けることはできない。
辺境の魔獣を退治し、しばらくしたあと、何があったのか魔王の挙動がおかしくなった。
辺境の村からの魔獣討伐の礼品には魔王の好物がたくさんあったのだが、まったく見向きもせず、難しい顔をした魔王リリスヴィーナは、
「一人にしろ!」
と珍しく大声を上げて、そのまま自室に引きこもってしまったのだ。
そのときの従者は恐怖で失神した。
しかし、魔王領をつかさどる最高決定者がいなくては内政のすべてがすすまない。
困り果てる重鎮たちであった。
「2位なのか、陥落したのか我は? でもすぐ1位に戻るし。
あーーーーー分けわかーーらーーーーーん!!!
今は1位だ!
うん、1位。
おちつこう。はい私、世界最強。世界最強かわいいリズちゃん!」
「ステータスオープン」
「リリスヴィーナ 魔族
職業:魔王
LEVEL:99
HP:9999
MP:9999
STR:9999
保有スキル:鮮血魔法
特記:【世界最強】」
「あれは幻。夢うつつ! なかったの。見なかったの♡ えへっ」
そのとき、【世界最強】の文字が【世界第2位】に変化した!
「ギョヘーーーーーーーーー!」
魔王は両手で目を隠し、しばらくの間かがみこんだ。
おそるおそる目を開け、チラリとステータスを覗き見ると、【世界最強】。
にこっと笑い、
「うん 幻よー。幻よー。幻術なんかに負けないぞ♡」
パネルの文字が変わる。――【世界第2位】
「ギャヒッ」
その後しばらく、【世界最強】と【世界第2位】への変化が繰り返され、魔王の精神は崩壊した。
「チャッカポコ チャッカポコ パネルさん ポッコチャポッコチカ サイキョウさん
チャッカポコ ボッコチアカ ポッ ポッ ポ ハネル変わってポッコチャカペ」




