023 裏ギルド vs 救世の暗黒神教団(完結編)
キュウビはへたり込んでいるボブの髪をつかみ、無理やり持ち上げた。
長身のキュウビが持ち上げると、ボブの両足は宙に浮き、髪の毛で体重全体を支えるような無残な状態となった。
つかまれた髪を支点に、ボブがぶらんぶらんと揺れている。
「やっとつかまえただ」
力を失ったと思われたボブは、両手を突き出し、キュウビの首を絞めた。
「グゲ」
「おるああああああああああああああああああ」
ボブの全身の筋肉が膨張する。
苦しみで膝をついたキュウビ。
すると、両足を地面につけたボブの足の裏から、下腿三頭筋、大腿筋、大臀筋と順に巨大な膨張をし、全身の筋力の集合体が握力に集中した。
振り払おうとするキュウビはSTR253、絞めるボブはSTR203。
しかし、ボブの手が離れることはなかった。
痙攣し倒れたキュウビを見届けたあと、ボブは両手を掲げ、
「勝ったど!!!!!」
「おおお、レベル差50をひっくり返しやがった」
「いやレベルじゃないんだ」「使徒様!」「暗黒神の守護使徒様!」
「カーちゃん、アニキ!」
オツヤ様たちのもとに駆け寄るボブ。
――ドタッ。
前に転ぶボブ。背中にナイフが刺さってる。
「れ?」
「狐術 黄泉わたり 」
「クソ熊め、死んだわ。
この術が発動したのは何年振りか。また10年は使えねえ。
10年に1回だけ黄泉がえるのさ。
クソ! クソ! クソ! もうてめえらまとめて死ねや!
俺の全力でチリにしてやる。
狐術最大奥義 黄泉獄炎」
先ほどの狐火とは比べものにならない、超巨大なエネルギーがキュウビの体からあふれ出す。
そこにいるすべての者が、死を覚悟した。
一人を除いて。
「ステータスオープン」
それはステータスパネルと呼ぶにはあまりにも禍々しすぎた。
オツヤたちとキュウビの間に突如現出した巨大な漆黒の板は、キュウビの放った荒れ狂う超高温のエネルギー波をその身に受け、何事もなく佇んでいる。
吸収されているのか、一切の反射もなく、ただ漆黒面にあたったエネルギーは存在しなかったかの如く消失している。
重厚感のある金属質の板からドス黒い気が放たれ、周囲を暗黒界に変容させる。
「は?」
「ステータスクローズ」
一瞬で漆黒の板が消失。
「ステータスオープン」
今度は、キュウビの体に重なるように漆黒の板が再登場した。
板により音もなく前後に分断されたキュウビは、自身の真実の死に気づくことなく意識をなくした。
数秒の時間をおいて、キュウビであった躯の前半分がぱたんと倒れた。
後ろ半分もやや遅れて倒れた。
足首のあたりで、かろうじて二つの躯はつながっている。
そして漆黒の板だけが、彼の最後にいた空間に浮遊していた。
血のり一つ残っていない。
「オツヤ 人族 28歳
LEVEL:1
HP:5 / 5
MP:1
STR:1
特記:【世界最強のステータスパネル保持】」
板には爪で何度も引掻き切刻んだような怨念を思わす深紅の血文字が記されている。
――世界の序列が変化した。




