018 暗黒神の巫女 vs 教国警備隊大隊(前編)
「全方向、囲まれている。おらが強行突破すっか?」
「ボブさんが怪我しちゃうよ。なんとか話し合いとか平和なのないの?」
「オツヤ様、彼らは完全に教国側です。
つまり容疑者の命など、何の価値も感じない洗脳教育を施されています。
平和な話し合いなど教国に通じませんわ。
ここはわたくしにお任せください」
(ボキボキっと指を鳴らす)
「カタリアさん。レベル上がって武闘派?!」
本隊も到着し、200名の包囲網は完成した。
土手で震えていた隊長であるが、気を取り直したようで指揮をはじめた。
「そこの三名に告ぐ。直ちに投降しなさい。
汝らはギルド爆破事件の重要参考人として手配されている。
我らは教国警備隊である――ステータスオープン」
「ザコデス 45歳 人族 職業:教国警備隊大隊長
LEVEL:26 HP:62 MP:28 STR:32 」
「「「「「「「ステータスオープン!」」」」」」」
一斉に警備隊員たちのステータスが開かれる。
どれも突出したものはないが、大きく劣るものもいない。
全員は出していないのか人数より少なく感じるが、100を優に超えるステータス開示は威圧的であった。
まさに数の暴力である。
「もーいやーーーーーーーー!」
(人酔い発動中)
「ちょっと多いずら。おらでも強行突破ムリかも」
「まずは私にお任せください! ステータスオープン」
赤黒い透明なパネルが浮かぶ。
「カタリア 24歳 人族
職業:暗黒神の巫女
LEVEL:66
HP:6
MP:666
所属:救世の暗黒神教団
スキル:生活魔法 布教」
「おっおい」「何だあの色は」「あれがパネル?」「赤いぞ」
「レベル66だと!」「やば!」「あのMPなんだよ」「暗黒神ってなんだ?」
「邪教徒?」「巫女?」「あの女ギルドの?」「起爆はあいつか」
「おちつけ!」「はったりだ」「偽物じゃないか」
警備員たちが混乱しだした。
しかし、逃げ出す者はいない。
どうにかのところでパニックは防がれ、統制は崩れず包囲陣は守られた。
カタリアは語りだした。
いつのまにか、動物の角でつくられたような拡声器を手にしている。
「皆様、あなた方は使命をもって生まれてきました。
近年の人生でさまざまな苦難と戦ってきましたね。
泣きたいときもあったでしょう」
透明な声は不思議と心地よく、大声ではないが響くものだった。




