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016  己の板を知りて他人の板を知る



 その後、追手のこともすっかり忘れて、三人はいろいろな実験をはじめた。


小一時間で何度も何度も、世界の序列は入れ替わったのだ。



「この世界のステータスパネルの特徴は、これまで確認されている限り、統一の規格となっております。


 まずは大きさと色。

 だいたいお盆より大きいくらいの面積ですわね(20インチモニタくらい)

 色は白と青です。


 これは人族、エルフや獣人などの亜人種、魔族すべて共通です。

 あの最強魔王リリスですら、同じ規格であったと報告されております。

 そして、自らステータスパネルを出さない魔獣ですら同じ規格です。


 そして表示される内容ですが、これも種族間や実力での差異は確認されておりません。

 名前、レベル、HP(生命力)MP(魔力)STR(筋力)、種族、スキル、称号、職業、職能など基本的なものがシンプルに表示されます。


 パネル内容は、視界に入る皆に可読可能です。

 どの角度でも、距離、視力無関係に、です。


 パネルは物理法則の外にある認識体。触ることはできません。すり抜けます。

 ――偉大なる暗黒神様ご本尊を除いては」



(魔王なんて本当にいるんだひええーーーー)



「はーい。カーちゃん先生! おら質問です」


「何ですか? あとお母ちゃんではありません」


「魔獣のステータスパネルなんて、おら一度も見たことないぞ?

 出さないのに見るってどうなってんだ?」


「貴方はまだ冒険者としての日が浅いのでご存じないかもしれませんが、常識ですよ。

 流石にプラウディオ枢機卿はボブさんでもご存じですね?」


「勇者パーティーの魔導士のおじいさんだべ」


「彼の持つスーパーレアスキル、『強制ステータス開示』。

 それで確認されています」


「なるほど、魔獣の強さやスキルが分かったら有利だべな。つええはずだ」



「ついでですから、お話ししましょう。


 ステータスパネル自体に影響を及ぼすスキルは『ステータスアピアランス系』と呼ばれるスーパーレアスキルです。

 ステータス偽装、強制ステータス開示、逆の強制クローズなどが歴史上散見されます。


 この中で現在確認されているのは、枢機卿がつかう強制ステータス開示のみです。

 彼は主にモンスター戦でこのスキルをつかうことで有名です。

『敵を知りて』という強みですね。

 対人戦では教国人は基本みなステータスオープンしますから、あまり意味はないスキルです。



 オツヤ様がお使いになってるのは、ステータス偽装でしょうか?」



「いいや。偽装なんてしてないです」


(レベルは本当に1なの)



「え、失礼しました・・・。わかりました!

 表面的偽装ではなく、世界を一新して革命を行う表明として、赤子と同じ初期値にあらわされてらっしゃるのですね。


 私の想像よりはるか先を行くオツヤ様の深謀遠慮! 感服いたしました」


(わかったよドヤ顔でニタリ)



「はい」


(何かわかんないけど嘘はついてないって分かってくれた!)



「しかし、このステータスアピアランス系のスキルは非常に珍しく、現世で枢機卿が使ってるというのも本当に特殊例です。


 とくにステータス偽装スキルは、この社会全体の秩序崩壊にもつながりかねないスキルですので、保有者は権力者に束縛され、一生囲い込まれて幽閉されるという闇の歴史すら伝えられています。


 あとの強制クローズは何の意味も持ちません。ハズレスキル扱いですね。珍しいだけです。


 ただ、偽装スキルを一般人がもったとしても、表の世界では生きていけないでしょうね。

 権力者の束縛に抗えるほどの強者でない限り」



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