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012 現世勇者イヤ ミキザ ~堕落の宮殿~


 教国王城の奥、男子禁制の間。「ハレム宮殿」



「くくくくく。やっぱりさー。いいよね。

 誰も入れないところでこうやって女の子たちとお酒飲むのサイコー!

 俺だけの女たちだよ! ああ、この才能が、女を呼ぶぜ」



 ハレムは本来王族に仕え、王族に嫁ぐための女人を育成する宮殿なのだが、この勇者と呼ばれる男を止められるものは誰もいなかった。


 十数名の女たちをはべらせ、ニタニタしながらワイングラスを手にするイヤミったらしいキザ男。

これが当代勇者であった。



「ねー君たち 見てよ 俺のステータス ステータスオープン」



夜空に浮かぶように、青白い半透明のパネルが現れる。


イヤ・ミキザ   ハーフエルフ 勇者

LEVEL:83

HP:7250 MP:6745 STR:7234

所有スキル:光魔法 属性魔法     」




「あー勇者様、すごいですわ」「まあ、なんて素敵なステータス」「きゃー勇者様」


 女たちも分かったもので、王よりミキザに媚びを売ったほうが得をすると考えているのだ。

実のところ本心は、毎日何度も何度も同じステータスを見せびらかせてくるミキザに辟易してるのだが、女はしたたかなのである。



「あーん 俺って天才! 俺って最高! 俺は美しい!」


「ミキザ様最高!」「すてき!」「よっ大統領!」



おじさん臭い感性の女も混じってるようだ。

 ハーフエルフの顔はたしかに整っているが、鼻の下を伸ばしっぱなしで台無しである。

だが本心を言う馬鹿な女はいない。


 またか、やれやれと見ているのが、勇者パーティのメンバーたちであった。



 そこに、ブワワワワと振動する光の輪が浮かび、中から人がでてきた。

空間転移魔法の使い手、勇者パーティメンバー大魔導士プラウディオ枢機卿である。



「またここか。ここは入るのに魔力をつかわにゃならんわい」


「じいさんも表からドカッと入って来ればいいじゃんか!俺みたいによ!」


「バカをいえ。立場というものがあるわい。おい、女ども奥に下がれ」



 女たちは心得たもので、そそくさと奥の部屋に下がっていった。



「けっ。じーさんが来るといつもそうだ。酒がまずくなる。今日は何だよ」


「ギルドが爆破されて壊滅した。誰がやったかまだ分かってない」


「は、おいおいどうゆうことだ。それじゃ、魔獣のほうのいけにえはどうすんだよ」


「お前さん方に頑張ってもらうしかないな」


「はっ?ふざけんなよ。俺たちゃ毎日、忙しいんだよ」


「移動はわしが転移させるから手分けして、魔獣を確保するんだ。

 雑魚は辺境警備隊にでもやらすが、A級以上は我々で拿捕する。これは決定事項だ。

 美味しい思いをしつづけたいんならご貴族様がたに餌をやらにゃならんだろう。分かるな」


「しょうがないな。で、そのギルド爆破の件はどうするんだ」


「警備兵と近衛騎士団は動いている。しかし念のためやつに頼む」


「やつ? ふん!」



ガシャン!!!


勇者がワイングラスを女の一人に投げつけた。



「なぜおまえだけ残っている。なぜ気配を消していた。おい!」



 いなくなったと思った女たちであったが、一人残っていたのだ。完全に気配を消して。



「それは私が呼ばれたからですのよ」



 女の姿がぶれる。

それは膨らみ、得体のしれない動きをしながら獣人の姿になった。


 九本の尾をもった体格の大きい狐獣人であった。



「やつで悪かったな自己紹介だ。主義じゃねえんだが特別にステータスオープン」




 キュウビ  狐人族  元S級冒険者(はく奪)

 裏ギルド九尾の狐・頭領

  LEVEL:65

  HP:1350 MP:2856 STR:253

  所有スキル:狐術              」






「おれの息子シークをやった奴は俺が殺す」


「犯人は3名、熊獣人の女。人間の男と女だ。俺が現場で嗅いできたからまちがいねえ」





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