110 決戦4
ステートピア神は狂神となった。
漆黒の板に、あらゆる攻撃を加える。
天を衝く特大破壊魔法。渾身神速の打撃。
すべては、漆黒面に飲み込まれる。
神の怒りすら何もなかったように、漆黒の板はただ静かにそこに浮かび続けた。
オツヤは神気に押され、体が吹き飛ばされそうになりながらも、片時も目を離さず切断の隙を探した。
しかし、常人の目でとらえるには神の動きは速すぎた。
「神眼解析 最適解 引き分け この板を永久に封印する」
「手順 スーパーレアスキル作動」
「強制ステータスクローズ(SR)」
世界最強の暗黒の板は、この世界から消滅した。
その瞬間、神速でステートピア神は、オツヤの目前に現れる。
手刀がオツヤの顔面下半分を吹き飛ばした。
強制ステータスクローズ。
この世界ではずれスキル、ゴミスキルと言わるスキル。
枢機卿プラウディオの孫プラウダが、遺伝なのか生まれ持ったステータスアピアランス系スーパーレアスキルであった。
虐殺で奪った無数のスキルから、神眼は世界最強のステータスパネルを完全に封印する方法を一瞬で導き出したのだ。
オツヤは絶対のステータスパネルの存在により不死身体質だとしても、ステータスパネルを現出させなければ身体は復活しない。
ステータスパネルを現出するためには「ステータスオープン」と口に出さねばならない。
完全なる封印。
世界最強は神の目に封印されたのだ。
-----シュ! バシッ!
一か八か、カタリアが投げたエリクサーは、それを予想していた神眼に叩き落された。
――サク サク サク サク
「オツヤン!」
「あ、アニキ!!」
狂神ステートピアはニタニタしながら、オツヤの四肢を切り落とした。
「神眼が教えてくれたぞ。おまえ、ステートピアから転生したんだなあ」
――グシュ グシュ グシュ グシュ
手刀が、オツヤの体に何度も突き刺さる。
「殺すことはかなわずとも、もう一度首をはねてやろう。二度も首をはねられたものはそうそういまいよ」
ボブとリズ、ガリクソンは体が固まって動けない。
神眼恐るべし。
カタリアを背負ったネグセは、必死に打開策を考えるが何も浮かばない。
ゆっくりとオツヤの首に手刀を差し入れるステートピア神。
オツヤの恐怖を楽しむのが狂神である。
オツヤは痛みで泣きながら、目を離さない。
目だけで反抗し続ける。
「強制ステータスオープン」
オツヤの眼前に、巨大な漆黒の板が現出した。
狂神ステートピアは前後に両断された。
ステートピア神の金色のステータスパネルは、すーーーーっと消滅した。
神の死はあっけなかった。
宙に浮かんでいるのは、重厚感のある金属質の板。
漆黒面に爪で何度も引掻き切刻んだような怨念を思わす、深紅の血文字で、
「オツヤ 人族 28歳 LEVEL1 HP 1/5 MP 1 STR 1
特記: 【世界最強のステータスパネル保持】 」
世界の危機は終わった。
少し離れたところで、転送門から片手だけ出した枢機卿の死体が見つかった。
オツヤに強制ステータスオープンをかけたのは彼だった。
彼はプラウダの仇をうった。
シェルター事件の主犯は、結果的に世界を救ったのだった。




