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010 世界最強の魔王 




 曲線だけで構成された精密かつダイナミックな王座は、継ぎ目なく床とつながり、神秘のデザインがそのまま壁面、天井、そして城全体へ続いている。


 材質は黒曜石か、巨大な魔獣の骨格なのか、あるところは有機的であり、あるところは幾何的文様を形作ってる。


 意識して見れば、ゆっくりと全体の色が変化し、紋様が徐々に動いてるのに気づくだろう。

すべてが一体化した魔術回路になっているのだ。


 王座に座るものを魔力源として魔王城は機能する。

王座に埋め込まれた魔石がバッテリーの役割を果たしている。


 以前、魔王不在時に興味本位で王座に座った愚かなる魔族は、瞬時に魔力を吸い取られ干からびて死んでしまった。


ここに座れるのは彼女だけなのだ。



 魔王リリスヴィーナ 世界最強の絶対恐怖。



 深紅のロングドレスをまとった彼女は、圧倒的な威厳を放ちながらも、強すぎるがゆえの深い退屈に包まれている。


王座で頬杖をつき、逆の手で長く美しい黒髪をいじっている。



「魔王様に報告いたします。

 我らが魔王領とユナイテッドステータス教国の境付近にある峡谷に生息している爆龍が、突如、飛び立ちまして、我が領内の村々を襲いだしました。

 かなりの被害が出ておりまして、辺境警備にあたってるイフリー炎将軍が駆け付けましたが苦戦しております」


「珍しいな。爆龍は確かにS級の強力な魔獣だが、やつのテリトリーを荒さぬかぎりそうそう暴れだすことはないはずじゃが」


「は、それが、今、数年に一度の爆龍の産卵期でございまして、なにかあったのかもしれません。

 如何せんイフリー様と爆龍は両者とも炎属性。相性が悪く硬直状態となっております。

 フロストス氷将軍のご助力をお頼みしたく許可をお願いいたします」


「フロストスは現在負傷中であろう。キザ勇者どものおかげで。よい、我が行く」


「おお、直々に!魔王様ありがとうござます」



月夜に魔王は飛び立った。






 魔王領辺境は炎熱の魔族イフリーと爆龍の戦いにより周囲温度は気温70度を超え、湖は干からび山面や地面はあちこちが荒く削られていた。


 ところどころに火が付き煙が上がる。

イフリー以外の魔族兵はこの戦いに巻き込まれないように、住民を保護しながら遠巻きに見守っていた。



 爆龍のブレスがイフリーに向けられた。

ブレスのうち炎のダメージはイフリーに通らない、寧ろ熱エネルギーの半分近くを吸収し生命力にかえる。


炎龍のブレスならばイフリーにとってはごちそうなのだが、爆竜のブレスは物理属性の破壊力が半分を占める。


 熱エネルギーの吸収をもってしてもダメージが蓄積していた。

対するイフリーの魔法は熱耐性を持つ爆龍には吸収こそされないがほとんどダメージを与えられない。


得意ではない肉弾戦の直接攻撃で爆龍に対抗していた。



「くそ、このままでは力尽きる。援軍はまだか」


「ご苦労だったな。イフリー」



 上空より赤き翼を広げた強大な存在がゆっくりと降りてきた。


 美しいプロポーションが満月を背にシルエットを作る。

絶世の美女でありながら絶対の強者。



「爆龍よ貴様に何の恨みもないが、これも世のめぐりあわせよ。

 我と同じ世界に生まれたことを後悔せよ。 ステータスオープン」



夜空に青白い半透明のパネルが浮かぶ。


  リリスヴィーナ  魔族  職業:魔王

  LEVEL:99

  HP:9999

  MP:9999

STR:9999

保有スキル:鮮血魔法

特記:【世界最強】        」



「おおお!」「魔王様だ!」「魔王様」「リリス様」「女王様!」

「やった」「助かったぞ!」「おまちしておりました」「ありがたやありがたや」


住民と魔族兵たちから大歓声が沸き上がった。



「グヤアーーーーー!!!!!!」



 興奮した爆龍が最大級のブレスを魔王に放つ。

しかしそれは真っ赤な壁に阻まれた。



「鮮血魔法 ブラッドウォール ――そして、鮮血魔法ブラッドソード」



 壁は瞬時に巨大な赤い剣へと形を変え、自立したような動きで爆龍を両断した。


 左右に分かれた爆龍からエネルギー体が破裂の前兆をあらわす。

しかし鮮血の剣がまた瞬時に変形。ドーム状に爆龍を包み、その内部で大爆発が起こる。


 爆龍最期の自爆は、鮮血の薄膜を破ることなく戦いは終わった。



「魔王様!ばんざい 鮮血王はんざい!」「魔王様!ばんざい 鮮血王はんざい!」

「魔王様!ばんざい 鮮血王はんざい!」「魔王様!ばんざい 鮮血王はんざい!」

 


翌日の午後、玉座に魔王がひとり座っている。



「はあ、なんか疲れたわ。たいして魔力は使ってないけど、あの鮮血王ってなに?

 いつもいつも思うんだけど、未婚のかわいい女の子に鮮血王なんて言う神経何なの?」



 でろーんと背もたれに体を預け、頭をそらして上を向いている。



「私、赤あんま好きじゃないのよねー。可愛くないじゃん。

 やっぱーピンクが私には似合うと思うの。


 この可愛さにピンク。最高じゃん。正に世界最強よ♡

 世界最強の私はピンクなの!何でみんな赤しか着させてくれないのよ!」



 その時、魔王の頭上に自動的にステータスパネルが開いた。



「えっ何?」



  リリスヴィーナ  魔族 職業:魔王

  LEVEL:99

  HP:9999

  MP:9999

STR:9999

保有スキル:鮮血魔法

特記:【世界第2位】        」




「へ・・・・・・2位????嘘!」







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