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橙の帷と消えた国  作者: T.M
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閑話 ログ 1

閑話 ログの動き 1


最近ログが、よく呼び出されていた。

呼び出してるのは教務監だ。


教務監室はアルヴァの奥にある。

重い扉

書類の匂い


ログは露骨に顔を歪ませた。

「帰りてぇ」「帰りません」

諦めて扉をノックする。

「入りなさい」

教務監は机に向かったまま書類を読んでいた。

眼鏡越しの視線だけが2人へ向く。

「主任教官ログ」

「はい」

「君は最近随分と規則に喧嘩を売ってるらしいな」

「人聞きわりぃなぁ」

教務監の眉がぴくりの動く。

レイスが頭を抱える。

「塔生への個人関与は禁止。理解しているな?」

「してますよ」

「なら、何故動く」

責めるというより確認している。

「………放り出した後、あいつ死にそうなんで…」

「感情論だな」

「そうですかね」

ログは椅子に座る。

「行く場所も頼れるやつも居ねぇガキに制度だけ渡して放り出す方が俺はどうかと思いますけど」

レイスが息を飲む。

ログがここまで真正面から言うのは珍しかった。

教務監は机に肘をつく。

「だから養子に?」

「それは無理なんでしょ?」

「当然だ。塔職員による引き取りを許せば制度その物が崩れる」

「でしょうね」

ログはあっさり頷く。しかし引かなかった。

「だから後見先紹介で動けるよう、掛け合ってる」

教務監はレイスをみる。

「君も協力してるのか」

「……主任のやり方は規律違反です。ですが、現状を放置することにも賛成出来ません」


暫くの沈黙の後、教務監は書類を閉じる。

「例外申請を出せ。正式な後見ではない。あくまでも出塔支援の延長扱いだ」

「……通るんで?」

「まだ、決まってない」

2人をみる。

「だが、前例は作ってやる」


レイスが深く頭を下げた。

ログは小さく笑う。

「教務監、実は優しい?」「減給されたいか?」「やっぱこえー」

いつもの調子だった。


その声は少しだけ明るかった。

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