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橙の帷と消えた国  作者: T.M
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第2章 アルヴァ塔 14

アルヴァ 14


面談の後からアルヴァの空気も変わってきた。


ユラは談話室に居ても、前みたいに落ち着かなかった。

本を開いても、内容が頭に入ってこない。


ノアも珍しく余計なことを言わない。

レイスは相変わらず、忙しそうだった。

そして、ログの煙草が増えた。

「吸いすぎ」

倉庫で毛布を畳みながら言うと

「気のせい」

最近咳も増えてきた。

「病院行けば?」「面倒くさい」「死ぬよ」「そのうちな」

軽い。でも、顔色も悪い。

ログは、話を逸らすように、毛布を指差す。

「手が止まってる」「主任のせい」「ひでー」

何時ものやりとり。でも、落ち着かなかった。


再びレイスから呼び出された。

嫌な予感がする。

「出塔時期が正式に決まりました」

1枚の書類をユラに渡す。

「引受人、もしくは後見人が必要です」

「…祖母は」

「返答待ちです」

淡々とレイスは言った。

「ここに残ることは出来ないのですか?」

言ってから自分に驚いた。

思わず、口から出てしまった。


アルヴァを出たくない。

初めて自覚した。


「規則上出来ません」

沈黙が落ちる。

その時ログが入ってきた。

「主任今はー」「わかってる」

ちらりとユラを見て視線をレイスに向けた。

「教務監と話す」

レイスが固まる。

「後見先を探す」

「主任、それは規律違反です」

「養子じゃねぇよ」

「問題はそこではー」「わかってる」

ログは被せるように言った。でも、引かなかった。

「放り出すよりましだろ」

レイスは何も言えない。

ログは呟きながら煙草を揉み消した。

「まぁ、まだ決まった訳じゃねぇ」

そう言いながら机の書類を指で叩く。


ユラはその姿を黙って見ていた。

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