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橙の帷と消えた国  作者: T.M
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第2章 アルヴァ塔 12

アルヴァ 12


部屋にまだ灯りがついていた。

ノアが机に突っ伏している。

「おそ………」

半分寝ていた。

ユラは上着を脱ぐ。

地下街の匂いが服に付いてる気がした。

「何か、酒臭くない?」

「気のせい」

「本当に?」

「………」

奥からレイスが来た。

ユラはそっと目を逸らす。

「ユラ、少し話があります」

ノアは寝たふりをしている。


ユラは重い足取りで無言で歩くレイスの後ろを追った。


教官室に入ると、書類が山になっていた。

レイスは椅子に座ると深く息を吐いた。

「地下街に行きましたね?」「………」

「主任から聞いています」

「………」

レイスがこめかみを押さえた。

「主任はなぜあの場で黙って居たのでしょうか………」

多分面倒くさかったんだろうな……。

ユラは遠くを見つめた。

「地下街は禁止区域です」

「知ってる」

「知ってて行ったんですね」


「………」(沈黙が怖い)

「……戻って来たから今回は厳重注意で済ませます」

「え?隔離じゃないの?」

「主任が止めました」

「心配する側の気持ちも少しは考えて下さい」

その言葉にユラは黙る。

地下街に向かった時、そこまで考えて居なかった。


ただ、戻りたかった。それだけだった。

「次はありません」

「……はい」

言い返す気になれなかった。


翌日

朝から倉庫整理に放り込まれた。

「何で私」

「罰」

ログだ。

倉庫の中は埃っぽい。

積み上がった木箱。

古い毛布。

使っているかわからない物。


「多い」

「頑張れ」

壁に寄りかかり煙草を吸っている。

「主任も罰じゃないの?」

「俺は監督」

「ズルい」

ユラは木箱を持ち上げた。「つ………」「腰やるぞ」「主任じゃ、ないんだから」「俺はまだわけぇよ」「………」

「教官怒ってた」

「だろうな」

「他人事」

「他人だしなー」

「でも、まぁ、隔離されなかただけ良かったろ?」

「主任が止めたって聞いた」

「あー」

「何で止めたの?」

煙を吐きながら

「戻って来たから」

それだけだった。


地下街に行った時は戻るつもりはあった。

でも、途中で気が変わったら?

ヴィク達に帰ってこいって言われてたら?

そう考えると、もやもやする。

「考えこむなよ」

「別に」

「お前黙ると直ぐ変な方に向く」「………」

その時レイスが来た。

ログとユラをみる。

視線が煙草に移った。

「主任」「はい」「ここ倉庫です」「はい」「火気厳禁です」「………はい」


ユラは吹き出した。

「笑うな」「主任が悪い」「お前も悪い」「何で!?」

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