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第2章 アルヴァ塔 9
アルヴァ 9
次の許可日まで、まだ日にちがあった。
アルヴァの中にも少しだけ外の空気が入ってきた気がする。
談話室では、街で見た話をする少女達が増えた。
新しい店
市場
お菓子屋
そんな話をユラは離れた場所で聞いていた。
「行かないのか?」
ログだった。いつの間に来たのか気がつかなかった。
ユラは読んでいた本を閉じながら
「何処に?」「市街」「別に」
ログが向かいに座る。
「地下街」
「………」
周りのざわめきだけが続く。
「会いたいなら行けば?」
「………」
「止めねぇよ」
ユラは俯く。
会いたい。
会った後、どうなるかわからない。
地下街に戻りたくなるかも知れない。
「ヴィク生きてるだろ、多分」
「多分なんだ」
「地下街だからな」
適当だ。
なんとなく安心する。
ログは椅子に深く座り直す。
「帰る場所って、変わるからな」
「前の場所に戻っても同じとは限らねぇ」
何も返せなかった。
地下街は温かかった。
あそこに行けばまた、前に戻れる気もした。
ログが立ち上がる。
「まぁ、急がなくていい」
それだけ言って出ていく。煙草の臭いだけが残った。
帰りたい場所
帰れる場所
その違いを考えるともやもやした。




