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橙の帷と消えた国  作者: T.M
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第2章 アルヴァ塔 6

第2章 アルヴァ 6


地下街よりアルヴァの冬は寒かった。


水が冷たい。

石の床が冷たい。

壁が冷たい。

全部冷たい。


「死ぬ……」

ノアが洗濯物を抱えたまま呟く。

「まだ、生きてる」「最近新入り冷たい」「冬だから」「上手いこと言った顔するな」「してない」


桶に手を入れる度、指先の感覚が消える。


地下街の方が暖かい。

ここは違う。

広い

寒い

静か

でも、嫌いではなかった。


その時冷気と一緒にログが入ってくる。

「寒っ」

「主任それ毎回言ってますよ」

レイスだ。後ろで書類を抱えてる。

ログは洗濯場を見回す。

「逃げてねぇ?」

「主任の中で私達何なの?」

ノアが呆れて言う。

「前科持ち」

「否定出来ないのが嫌!」

レイスがため息を吐く。

「主任仕事してください」「してる」「してません」「見廻り」「煙草吸いながらでしょう!」「………」

図星らしい。

ユラは吹き出した。

レイスがちらりとユラを見る。

「……最近笑うようになりましたね」

急に言われても返事に困る。

「別に」

「またそれ」

ノアが笑う。

ログが言う。

「飯ちゃんと食ってる顔になった」

ユラは顔をしかめる。

「前、野良猫みたいだった」

「ひどい!」

「今も若干そう」

レイスが吹き出した。

ユラは露骨に嫌な顔をする。


でも、口元は緩んでいた。

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