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第2章 アルヴァ塔 5
アルヴァ 5
数日で、アルヴァの生活にも慣れ始めた。
鐘で起きる。
働く。
食事をする。
風呂は週2回。
消灯は早い。
規則だらけだった。
でも、殴られない、怒鳴られない、夜に怯えなくて良い。
それはユラにとって、思っていたより大きかった。
その日ユラは厨房の手伝いをしていた。
大鍋
湯気
黒パン
厨房は暑い。
「新入りー、そっち運んでー」
料理番が怒鳴る。
ユラは木皿を抱えて食堂へ向かう。
途中誰かとぶつかった。
「あっ」
皿が落ちると思った瞬間、横から大きな手が支えた。
「危なっ」
ログだった。
「……ごめん。熱かった?」「平気」
ログは皿を見下ろす。
「今日はまともだな」
「何が?」
「飯」
失礼だった。
ユラが顔をしかめると、ログは少し笑う。
「その顔増えたな」
「どの顔?」
「嫌そうな顔」
「主任が相手だから」
「ひでー」
ログは壁に寄り掛かる。
「ノアは?」
「洗濯」
「さぼってねぇ?」
「わかんない」
「わかるだろう」
多分サボってる。
その時、遠くから怒鳴り声が聞こえた。
「ノアァ!!!」
レイスの声だ。
ユラとログは顔を見合わせる。
「サボってんな」「だね」
ユラは思わず吹き出した。
ログも笑う。
それが、アルヴァに来てから初めて自然に笑えた瞬間だった。
ノアはその後、レイスにかなり絞られていた。




