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第2章 アルヴァ塔 4
アルヴァ 4
アルヴァの夜は静かだった。
静かすぎて、最初は眠れなかった。
地下街では、何時も音がしていた。
笑い声
怒鳴り声
酒場のざわめき
誰かの足音
でも、アルヴァは違う。
聞こえるのは風の音位だった。
ユラは、ベッドの上で目を開ける。
寒い。
ぼんやりベッドから落ちそうなノアを見ていた。
足音が聞こえる。
ゆっくり引きずる様な歩き方。
咳。
ログが見廻りしてるらしい。
足音が近づく。
廊下の灯りが扉の隙間から薄く差し込んでいた。
主任の声。
「ノア」
「んー……」
「落ちるぞ」
「落ちない…」
次の瞬間…
ドンッ
ノアがベッドから落ちた。
「………」
ログが吹き出した。
「落ちたじゃねぇか」
「主任のせい!」
「なんで?」
「言霊!」
「?」
ユラは毛布の中で吹き出した。
地下街とは違う。
でも、ここにも人の生活があった。
「主任が言う!?」
「俺、静か」「今、笑った!」「笑ってねぇ」
笑ってた…
足音がまた、遠ざかる。暫くして、ノアがベッドに戻る。
「…痛い」
「ばか」
「新入り冷たい」
ノアの顔は緩んでいた。
ユラは毛布に潜り直す。
石壁は冷たい。
夜は長い。
地下街に居た頃より、少しだけ眠れそうだった。




