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橙の帷と消えた国  作者: T.M
13/31

第2章 アルヴァ塔 2

アルヴァ 2


「飯食った?」


ログは本当にそれを最初に聞いてきた。

「………」

レイスが呆れた声を出した。

「主任、まず他に聞く事あるでしょ」

「腹減ってると話し聞かねぇし」

「聞きます」「聞かねぇよ」

ユラはログを見た。

ログは煙草をくわえたまま、ぼんやりユラを見ていた。

重たそうな目蓋

眠そうな目

でも、ちゃんと見られてる感じがした。

レイスがため息をはく。

「食堂まだ開いてますか?」

「ギリ」

「連れていって下さい」

「俺が?」

「主任以外誰が行くんですか」

「嫌だな。その言い方」

ログは煙草をもみ消す。

「こい」

ユラは少し迷った後付いていく。

アルヴァ塔の廊下は寒かった。

石の壁


足音


静かすぎる空気


地下街とは全部違う。


ログが前を歩きながら言う。

「地下街居たんだって?」

隊長から聞いたらしい。

「………」

暫く歩いて、ボソッと言う。

「ヴィク元気?」

ユラは思わずログを見上げる。

「知ってるの?」

「まぁ」

それだけだった。

でも、何故か少しだけ安心した。

食堂は広かった。

時間が遅いせいか、人は殆んどいない。

奥で少女達が数人ぼんやり食事をしている。

皆、疲れた顔だった。

ログが厨房へ声をかける。

「何か残ってる?」

奥から大きな声。

「ライ麦のお粥なら」

「じゃあそれ」

ユラは椅子に座る。

ログも向かい側に座る。

「逃げなかったんだな」

ユラが眉を寄せる。

「何が」

「詰め所」

「逃げようとはした」

「ふーん」

それ以上追及しない。

暫くして粥が運ばれてくる


湯気


薄い匂い


ぼんやり器をみる。


「食え」

命令見たいな声だった。

でも、不思議と地下街の客より怖くなかった。


1口食べる


温かい


味は薄い


地下街から出て初めてちゃんとした食事をした気がした。

ログか煙草の箱で遊びながら、ボソッと言う。

「死ぬ程不味いだろ、それ」

ユラは吹き出した。

「言うなよ?」

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