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第1章 地下街 終
地下街 終
結局警邏隊と一緒に地下街を出ることになった。
「逃げんなよ」
「逃げる」
「おい」
ミナが笑う。
「正直」
ヴィクは割れた瓶を片付けながら、面倒くさそうに手を振った。
「まぁ、行ってこい」
「他人事」
「他人だからな」
酷い。でも、何時もの空気だった。
ユラは酒場を見回す。
赤い灯
煙
酒
笑い声
地下街は相変わらず騒がしかった。
ミナがキセルの煙を吐く。
「ユラ」
「何」
「戻ってきたら働きな」
ユラは笑う
「適当」
「地下街なんて大体適当」
ヴィクがぼそっと言う
「登録証はちゃんと作れ」
「お前が言う?」
「申請中だから」
「絶対してない」
笑が起こる。
その笑が最後だった。
隊長が扉を開ける。
冷たい夜気が流れ込む。
地下街の温
暖かさが背中から消えて行く気がした。
ユラは一瞬だけ立ち止まった。
帰りたいと思った。
祖父母の屋敷じゃない。
地下街へ。
その事に自分で驚く。
隊長が振り返る。
「行くぞ」
小さく息をはいた。
それからゆっくり石段を上がる。
石段の先には、冬の王都が広がっていた。
地下街よりずっと寒い。
ユラは無意識に後ろを振り返る。
赤い灯が石段の下で小さく揺れていた。
その夜。
ユラは地下街を出た。




