第9話
最近はいい感じだ。
俺に話しかけてくる奴もちらほら出てきた。そいつ等は自分らのグループに戻ってルナくん意外と普通だったよ、とかキャイキャイ話しているので珍獣枠から抜け出せているかは分からんが。クラスのメッセージのグループにぼっち3人衆でまとめて招待されたりもしている。
まぁ2週目でこれなら中学の頃よりは100倍順調だ。この調子でいけばいいだろう。学校帰りで制服も着替えずチビ共はリビングでゲームをしている。こいつら高校受験大丈夫か?夏あたりにはマジでしばきまわしながら勉強させないといけないかもな。
あれこれ考えながら部屋に戻って着替える。パーカーにバスパン、イヤホンをつけて、スマホと鍵だけもってランニングしに公園に向かった。
夕暮れ時、陽の光が収まってきていい感じの時間帯だ。あまり紫外線を浴びて将来皮膚がシミだらけになるのは嫌だしな。
近所の公園は中央にでかい池があり、バスケのコートやチェーンのコーヒーショップなども入っているクソでかい公園だ。軽く柔軟を終えてイヤホンからお気に入りのプレイリストを流して、一周2キロの周回コースを走り出した。
4周目に入るとだんだんしんどくなってきた。マラソン向けの体をしていないのは自覚しているので今日は8キロくらいで終えよう。
「ねぇねぇ」
走り終えて、コースの脇によって息をつく。パーカーの袖で顔の汗を拭っていると肩をトントンと叩かれた。すわ敵襲か?と振り向くととんでもない美少女が現れた。っていうか見たことあるわこいつ。
クラスの美少女ちゃん達の1人、ポニテをふりふりさせている元気っ娘ちゃんだ。主人公くんの周りをちょろついている中の1人だ。
ちょっとメンチ切りながら振り返ったのに、彼女はニコニコとこっちを見ながら何か喋っている。この子絶対いいこやん。爆音で音楽を垂れ流していたワイヤレスイヤホンを外す。
「すまん、イヤホンしてて何も聞こえなかった」
初手謝罪から入る。
「だと思ったよ!さっきからずっと後ろ走ってたんだよ」
そうなんだ。てかなに喋ればいいのこれ。何を目的に話しかけてきてるのコイツ。息が切れているので頭働かないんだが。
「そうなんだ」
「そうそう!てかルナくんだよね、同じクラスだよ!私の名前分かる?」
知らねーよ。正直覚えていない。気にはなっていたが知る機会なかったし。自己紹介で全員の名前覚えるのとか無理だし。ちょっと待ってと手で制してから、伸びをしたりして息を整える。よし、落ち着いてきた。
「えーっと、あれでしょ。可愛いから覚えてるよ。山本さんだっけ?」
軽く笑顔を添えて適当に言ってみる。
「か、可愛いって…。てか名前全然ちがうから!高橋!高橋愛梨!」
照れてら。ちょろそうだ。




