第10話
はっきりいって俺は人から女を寝取ったりするのは良くないことであると理解している。ましてや高校とかいう狭いコミュニティでそんな事をしたら居心地が悪くなるのは自明の理だ。
眼前の美少女を見る。
こいつはあの主人公くんの周りにいるけど、付き合ってるんだろうか?この1週間ちらほら見ていたが俺の見た範囲では彼女たちは常に主人公くんと一緒に行動している。まぁ気になるなら聞けばいいか。
「あーすまん。名前全然覚えてなかったわ。愛梨ね、よろしく」
笑顔で握手の手を差し出した。イケメンしか許されない行為である。
「あ、うん。よろしくね。」
頬を軽く染めながら俺の手を握る。華奢で小さな手だ。
「んでどうしたの?たまたま見かけたから声かけてきた感じ?」
適当に問いかける。ていうかマジで可愛いな。背は高めで胸はあんまない。色白の肌に大きな丸い瞳が黒目がちで潤んでいる。形の良い小鼻に小さな唇。口角が自然と上がっており快活そうな性格がそこに見える。
「うん!いや前から気になってたんだよね。クラスでめちゃくちゃ目立ってるじゃん」
まぁ否定はできない。目立ちまくってるだろう。気になったから人目がありまくるここで声をかけてきたのか。多分ここが路地裏なら絶対声をかけてこないだろう。
「そっちも目立ってるじゃん。なんか1人の男子の周りに可愛い子達が集まってるし。あれ付き合ってんの?」
内心ちょっとドキドキだ。もう既にこいつとヤりたいと本能が叫んでるから、頼むから付き合ってないと言ってくれ。
「いやいや!全然付き合ってないよ!あたしは中学の時から健太くん達と仲良くなって一緒にいる感じかな?」
マジか。やったじゃん俺。なんかもう既に付き合った気分だ。楽しくなってきた。まぁ付き合ってないなら主人公くん周りはどうでもいいや、そこの深堀りはやめよう。
「へーそっか。ってかちょっと喉乾いたし飲み物買っていい?なんかおごるよ」
おごられ慣れてるのか特に抵抗もされなかったので自販機で2人分の飲み物を買って近くのベンチに座る。さて、これからどうするか。性格良さそうだし同情を引く感じでいってみるか。
「俺さ、こんな見た目だから全然友達できねーんだろうなと思ってたけど、だからさ、なんつーか、話しかけてきてくれてうれしいよ」
ちょっと不器用で寂しがり屋の不良少年感をだして母性をくすぐる作戦だ。
「なら良かったよ!いやー確かに話しかけるのはちょっと怖いかもとは思っちゃってたけど。なんか傷とかすごいもんね。それどうしたの?」
全身に走る切り傷だ。てか気軽に聞いてくるなコイツ。親に虐待されてた傷だったりしたらどうすんだ。いや違うけどね。
「あーこれね。小学校の頃、弟が車に轢かれそうになってさ、弟突き飛ばしたらかわりに俺が轢かれてショーウィンドウに突っ込んだときの傷」
ちなみに一部嘘だ。弟を庇ったわけではなくて俺がぼーっとチャリで走ってたときに車に轢かれた傷だが、当時なんとなく恥ずかしかったのでついた嘘が色んな奴に言い過ぎてもはや引き返せなくなった感じだ。
弟にもそういうことにしたから、口裏合わせろよと言ってあるのでバレる可能性は低いはずだ。まぁバレても小学生男児のお茶目な嘘で笑い話になるし大丈夫でしょ。




