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NTRゲー悪役みたいな外見してるけど、これマジでそういう世界じゃないよね?  作者: 小野千春


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第28話

 彼女もできたし順風満帆な朝だ。人生二度目の告白という大舞台をこなした俺は爽やかな気分で目を覚ます。


 朝飯やらいろいろ済ませてOBのありがたい言葉とかを聞かされたあとはグループワークが始まった。大学に行ってからの目標やら、なりたい職業やら、そういうのだ。


「ルナくんってなりたい職業あるの?」


 昨日より倍くらい距離が近くなった愛梨が聞いてきた。


「あるよ。検事になりたい」


「検事?なんていうか、あれだね。珍しいね」


 確かに。将来の夢は検事です!って言ってる子供みたことないし。


「小学校の頃は警察官になりたかったんだけどね~。昔、母さんにあんたコワモテになりそうだから警察とかいいんじゃない?って言われてさ。でも成長してから警察に職質されまくるようになって嫌になってやめた」


「うわ、可哀想。でもたしかに、ルナくんなんか暴力団対策課とかそういうのにいそうな感じはするかも」


 大阪や!はよ開けんかい!ってか?


「でしょ。んでドラマとか見てたら検事って職業あってさ。警察より、なんか偉そうにしてるの見てかっけーってなって。しかも公務員で安定してそうだし、年収いいし。司法試験うからないといけないのがしんどそうだけど」


 検事になろっかな~、といったら母さんはしばらくスマホをポチった後、大賛成してくれた。後ろから覗くと検事 平均年収と調べていた。


「へ~、結構あれだね!もういろいろ考えてるんだね」


「まーね。愛梨は?なんかないの?」


「私はまだ、そんなに考えてないかな…。勉強頑張って、行ける選択肢増やしときたいなって感じ?」


「まだ高1だしそれはそれでいいんじゃね?てか小中の時になりたかった職業とかないの?」


「んーお菓子屋さんとか、学校の先生とか、看護師さんとか?」


「いいじゃん。なんかいかにも小中の時の夢って感じはするけど」


「でしょ?なんか検事、って言われたあとに言うのもあれかな~って。ルナくんはなんか普通に良い大学入って、良い企業に勤める、みたいな考えはないの?」


「俺そもそも会社員になりたくないんだよね。なんかそれよりは犯罪の捜査に関わったり、裁判に関わったりしたほうがおもろいんじゃねーかな~みたいな、しょうもない動機が結構あるから。まぁドラマとか見て夢みてるだけで実際は事務作業とかに追われてるんだろうけどさ」


「なんか結構真面目にグループワークやってるね」


 芹那が急に入ってきた。周りもやってるように見えるが実際はただのお喋りとかしてるんだろう。


「まぁな。こういうのを真面目にやっとかないとただでさえ見た目こんなんだし」


 と言って、自分を上から下まで指差す。推薦で大学行く気もないが無駄に内申点を下げたくはない。


「あはは、真面目だよね。ルナくんってなんでそんなに勉強頑張ってんの?」


「んー…まぁなりたい職業があるってのもあるけど、一番は母さんに言われたからかな。中学の始めのころまではそこまで勉強してなかったけど、大学行って欲しいとか、見た目と運動とかでモテるのはせいぜい中学生までとか、社会にでたらお金持ってないとモテないとか、そういうことを散々言われたからな」


 あとは俺みたいな外見の奴が勉強もできなくて、中卒高卒になっちゃうと碌な将来迎えなさそうだし。自分に勉強しなくてもお金を稼げるような才能があるとは思ってない。たとえば配信者とか、動画投稿とか、音楽で食っていく、とかそういうのだ。なれてホストとかか?


「モテるモテないがモチベーションになってるのがルナくんらしいね」


 なははと芹那に笑われる。分かってねーなー。


「男は全員そうだっつの」


「そんなもん?」


「そんなもん」と頷くと芹那ははえ~と感心している。


「芹那ちゃんはなんかなりたい職業とかあるの?」


「あたしはね~、インフルエンサーとか~?」


 バカっぽそうに言う。こいつなんで進学校に来たの?来れたの?と疑問符が湧いたが何も言うまい。


「っていうのは冗談だけど、高校在学中にインフルエンサー的な活動はしてみたいとは思ってるよ」


「いいんじゃね?いかにもって感じだし人気でるんじゃん?」


「ルナくん達もカップルでなんかやったら人気でるんじゃない?」


 そういうのがあるのは知ってるが詳しくないし興味もあんまない。


「やってみたい?」愛梨に聞いてみる。


「ルナくんは?」と聞き返される。


 こう聞き返して来るのって、半分興味ある感じがしてそうだ。


 SNSで自分の何かを発信することに特に興味はない。俺は自己顕示欲が結構ある。今のところリアル世界で目立って自分の能力を見せびらかしたい、くらいに収まっているが、SNSとかやりはじめて何千人もの評価にさらされたら自分が承認欲求モンスターに進化する可能性が高いと思ってるので怖くてやりたくない。


「なんか自分が承認欲求の塊みたいにになりそうだからやめとくわ」


 正直に答えておいた。


 愛梨とのデートでいちいちカフェで写真を取って「#カフェデート #お洒落な空間 #チル」とか書いちゃう自分はキモすぎてイヤだし、SNSに「マヂ無理…」「消えたい」とか書いて、フォロワーからの「どした?」「大丈夫?」とかいうメッセージを待ち望む自分を想像してゾッとする。


 スマホ中毒者みたいになったら将来設計が丸つぶれだ。


「マジか。ルナくんならノリノリでやりそうと思ってたけど。んじゃSNSに写真とかあげられるのもヤな感じ?」


「芹那のアカウントにあげるくらいなら別にいいよ」


 あんまり嫌がるのも最近の高校生って感じでもないし、それくらいなら別にいい。


「よかった~、昨日の写真もう上げてて結構いいねとかコメントついてるからさ。あ、愛梨には許可もらってたから、ルナくんも全然いいって言うかなと思ってさ」


 こいつ…。まぁええわ。


「へ~見せて、どんなコメント来てんの」


 というと芹那はスマホをいじって、こちらに渡してきた。昨日の俺等の写真が「親友に彼氏ができたよ~! ※彼氏くんは意外と普通の人で悪い人間ではありません!」というコメントを添えて投稿されている。


「なにこの米印のあとのコメント」


 あと「意外と」ってなんだよ。


「いや~フォロワーに中学の時の友達がおおいからさぁ、愛梨の事を心配するコメントが結構きてて、ヤバっと思って追記しといた」


 てへぺろ、みたいな仕草をしている。うざっ。古いんだよこのギャル。コメントを開いて見てみると


「え?これ愛梨の彼氏?大丈夫そ?」

「ヤクザ?」

「イケメンではあるけど…なんか騙されてない?」

「怖すぎて草なんよ」


 みたいなのがずらずら書かれている。


「いや~あれだね!ルナくんの魅力はやっぱり会ってないと分かんないもんね!」


 一緒にコメントを見ていた愛梨が必死にフォローしてくる。


「まぁ自分の外見がどう思われるかはよく分かってるから気にしてない」


 誓って本心なんだが、強がってらとか思われちゃいそうなセリフだな、と愛梨の手をさすさすしながら思う。


「逆にさ、その見た目で可愛いダンスとか踊ったらバズるんじゃない?」


「なんでそこまでしてバズらないといけねーんだよ」


 んな必死じゃねーよ。


「勿体ないなぁ~」とギャルが口を尖らせる。


「芹那ちゃんはどういう活動するの?ダンスとか?」


「んーノープラン。適当に日常をあげて、なんかバズればいいかな~みたいな?」


 典型的な成功もせず長続きもしないタイプに聞こえるんだが。こんだけ顔がいいとそれでも上手くいったりすんのかね。


「なんか特技とかねーの?歌とかギター弾けますとか」


「強いて言えば…メイク?」


「メイクいいじゃん。男ウケするメイクのやり方とか、逆に女ウケするやつとかあげたらいいんじゃね?」


「いいね!みたいみたい、上げてくれたらそれ見て私も勉強するよ!」


 芹那は「なるほどね~」としばらく考え込んだ後、顔をあげた。


「ルナくんを可愛くしてみた、とかバズりそうじゃない?」


 う…うざい、この承認欲求モンスターめんどくせえ…。

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