第21話
翌日、登校すると愛梨が近寄ってきた。
「おはよっ!」
今日も元気に挨拶してくれる。
「おう、おはよ」
「今日からさ、お昼一緒に食べない?」
「マジか、全然いいよ。てか嬉しいわ。あいつらと一緒でいいか?」
と我らがぼっち軍団を目線で指す。佐藤達はいいのかな。佐藤を見るとチラチラこちらを見ている。睨む度胸もないんだろうな、まぁいいや。
「うん、もちろん!ルナくんとっちゃうと申し訳ないしね」
「あいつらに言っとくわ」
と言って席に向かうと愛梨も着いてきた。眩しい笑顔で大輝と瞳に今日からお昼ご一緒するね、と報告している。2人が陽のオーラに当てられてシナシナになっていると爽やか笑顔でマコトがやってきた。
「ルナくんついにあっこから1人引き抜いた感じ?」
「まぁな、やるっしょ」
「さすがっす」
といってマコトがへへーと頭を下げてきた。
「んじゃ俺も今日から一緒しようかな。5人で食べよう」
いいね。
昼休みに入った。5人もいるので瞳が机をくっつける。
愛梨が俺の隣にやってきて、誕生日席にマコトが座った。
明らかに大輝と瞳が萎縮している。弁当を食っているとふと思った。
「大輝ってさ、なんか服がよれよれじゃない矢野みたいだよな」
愛梨に言うとプッと吹き出した。
「確かに、ちょっと似てるかも」
「矢野?って誰?」
とマコトが聞いてきたので、適当に他校の奴で昨日愛梨と一緒にいる時たまたま会ったとごまかす。大輝をまじまじと見る。
「美容室とかで髪整えたら?」
ラノベのように急に美少年になることはないだろうが、今より確実にマシにはなるだろう。
「えーなんかめんどくさいし。僕がそんな事しても意味ないし」
卑屈な奴め。世を拗ねている。あきらめてる感を出してる癖に、一番楽な坊主にしてない辺り、一縷の望みをもっているのが分かる。
「短髪にしろよ。やっぱ男ならデコをだせデコを」
「えー短髪よりあれあれ、センターパートとかそういうのの方が似合いそうじゃない?」
愛梨が言う。そうか?まぁなよっとしてるからそうかも。そこからスマホを取り出して大輝に似合いそうな髪型を皆で協議する。マコト案が採用され、大輝に画像を送る。
「来週にはその髪型にしてこいよ」
無理やりだが今のちんちくりんボサボサヘアーよりはマシになるだろう。
「大輝くん、ちゃんとその画像みせて、これにしてって言うんだよ」
と瞳が言った。瞳が置いてけぼりなのも可哀想なのでこいつも巻き込もう。
「瞳もコンタクトにして髪とかもいじったら?」
謎の赤い眼鏡はコンタクトにしたほうが良いと思う。こだわりがあったらスマンが。
「いいじゃん、この高校染めてる人も多いし、メガネ外してストパーとかかけて髪染めたりしたらガラッと変わりそう!」
愛梨に言われて「ええ…そうかな」と照れているので、そうそうと皆で背中を押す。急に超美少女になることはないだろうが、今よりマシにはなるだろう。愛梨がスマホで何やら瞳に見せている。
「んじゃ瞳も来週までにそんな感じで」
無理やりだが今のちんちくりん癖っ毛メガネよりはマシになるだろう。
弁当箱の中身を食べ終わったので、ビニールに入れたゆで卵をとりだす。ちなみに殻付きである。
机に殻を打ち付けてビニールの中で殻をむいていると愛梨に突っ込まれた。
「教室でゆで卵剥いてる人始めてみた」
「母さんが下の双子達と同じ量しか弁当作ってくれないから、ゆで卵で調整してるんだよ。なんか俺だけ量を増やすとかめんどいらしい」
タンパク質の補給にもなるしな。俺のこの身体はこういうきめ細やかな努力の上に成り立っている。
俺が最後のゆで卵を食い終わった辺りで背後から声をかけられた。
「あのさぁ、一ノ瀬、ちょっといい?」
振り向くと佐藤ハーレムのギャル枠の早見芹那だ。なんか喧嘩腰だし、クラスの奴は大体ルナくん呼びなのに距離を感じる。なんやねん。
「ん?まぁいいけど何?」
「ちょっと2人で話したいんだけど」
告られる感じ?いや、空気感的に絶対違うだろうけど。
「んー?いいけど歯磨いてからね」
俺は飯食ったら歯磨きをかかさないタイプの人間だ。歯周病になりたくないし、口クサッって言われるのやだもん。
「じゃあ屋上で待ってるから」
と言ってさっさと教室を出ていった。
「ルナくんなんかしたの?」
と愛梨が心配そうに聞いてくる。
「なんもしてねーはずだけど」
心当たりは全く無い。愛梨に近づくなとか言われんのか?




