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NTRゲー悪役みたいな外見してるけど、これマジでそういう世界じゃないよね?  作者: 小野千春


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第20話

 矢野が的にかけられた理由は分かった。寝てて下校が遅くなりぼーっと1人で歩いてた陰キャっぽいこいつが狙われたのか。


「なるほどね。まぁお互い不運が重なった感じか」


 4人にしてみたら特大の不運だっただろうがしょうがない。


「まぁ俺もちょっとやりすぎちゃった感があるし、お互い様ってことでいいっすか?」


 矢野が言う。明らかにやりすぎてるが、こいつなりに全力で無かったことにしようとしている。


 4人は「あ、はい…」とか「すみませんでした…」とかいって交互に頭を下げている。


「よし!んじゃ握手!」


 もうなんか既に飽きてきたし、小学校の教師みたいなノリで仲直りさせることにした。矢野の背中を4人の方へおしてやる。引きつった笑顔で矢野と握手を交わす4人を見ながら愛梨に声を掛ける。


「見たかアイリーン。まぁざっとこんなもんよ」


「あはは、アイリーンって誰。てかまだ動画の件とかあるくない?」


 あぁ、そうだった。なんかもう解決した気分だったわ。


「そういえばあったなそんなの」


 んじゃ全員の動画を消させよう。


 矢野が戻ってきたので、動画の話を始める。ここにいない第三者に送られてることにしたら面倒な事になるので、正直に俺に動画が送られてきた事を話すか。


「俺にも来ててまだ見てないんだけど、なんかお前動画撮ったんだろ?あれ、消しとけよ。俺の分は消すから」


 と言って、全員の前でアプリを開き、動画を削除した。


「これでよし。んじゃ矢野のスマホの分と、あと他あるか?」


「こいつの携帯にも嘘告の動画入ってる」


 と矢野が女子高生Bのことを指さした。


「んじゃ、2人ともスマホだして」


 というと矢野は自分のカバンから2つのスマホを取り出した。こいつまだスマホ没収してたんか。まぁそこには触れない。


 全員で、最近削除した項目やらクラウドやらから復元できないようにいろいろと確認しながら動画の削除は終わった。


「これで大体オッケーか?」


「えっとさ、シャツとか血まみれだし、顔腫れてるしどうするの…?先輩達も家族とかにいろいろ聞かれると思うんだけど」


 愛梨が言う。あー確かに。


 ここで口を挟みたくないな~。「んじゃ、適当に暴漢に襲われたってことにしとけよ」と言えば従うだろうが、なんかの犯罪に該当しかねないし。それ言うとスマホの動画を消させたのもヤバいのか?いや、あれはお互いのイジメ動画を削除させたんだから良いことってことでいいか。深く考えまい。


 腕を組んで黙り込む。俺が仕切らないので4人がボソボソと会議を始めた。


「あの、俺等2人が喧嘩して殴り合ったって事にするんで、大丈夫っす」


 血塗れシャツくん達が言う。ナイスだ。その言葉が聞きたかった。


「んじゃ、そういう事なるのか…?」


 適当にはぐらかす。ほな、そういうことでよろしく、という意味だ。


 大体話しも終わったので雑談でもして場を和ませよう。


「矢野お前高校生活大丈夫そうなん?さっきの話聞いた感じろくに勉強も何もやってなさそうだけど」


「まぁ俺ルナくんみたいに進学校じゃねえし、卒業できたらいいかなって」


 卒業も怪しそうな気がするんだが。


「まず卒業できんの?てか友達とかいねーの?」


「いやーなかなか気の合う奴がいなくてさぁ」


 まぁいなそう…。バカだし。


「この先輩たちとつるめば?勉強も教えてもらえるじゃん。さっき仲直りしたっしょ」


 ね?と4人に笑顔を向ける。まぁ完全に余計なお世話だ。嫌がりそうだけど、矢野が中卒になるのも可哀想だし?


「ほら、連絡先でも交換してきなさい」


 パパになった気分で矢野の背中を押す。矢野は自分の鞄からスマホを3つ取り出して彼らに渡し、連絡先を交換している。全員の携帯没収してたんか。「あ、忘れてた」とかいって更にカバンからトランプのように身分証の束を取り出して彼らに返している。


「こんなもんでいいか。さすがにもう大丈夫そうな感じだよな?」


 こそっと愛梨に聞いてみる。


「多分…?まぁ見た感じ大きな問題になりそうな雰囲気じゃなくなったしもういいんじゃない?」


 んじゃ時間も遅くなってきたしそろそろ解散するか。まぁまぁ楽しかったな。


「よし!んじゃ解散!」


 俺がパン、と手を打ってこの場はお開きとなった。






 4人が各々散っていき、夜の公園に俺と矢野と愛梨の3人だけになった。


「ルナくんまーじ助かったわ。どうしようかと思ったもん。ありがとね」


「全然いいよ、俺等も楽しかったしな」


「うんうん、動画は正直びっくりしたけど、なんか新鮮な体験できて楽しかったよ!」


 愛梨は笑いながらそういった。こいつが楽しかったなら全て良しだ。


「んじゃまたなんかあったら連絡するわ!今日マジ助かった!」


 と言い、矢野は手をブンブン振りながら走り去っていった。


「ふぅ~、まぁしょうもないトラブルだったけどおもろかったな。んじゃ、家まで送ってくよ」


 と言い手を差し出した。愛梨は少し顔を赤くしながら俺の手を握る。


「ルナくんっていっつもこんなことしてるの?」


 しばらく黙って隣を歩いていた愛梨が聞いてくる。


「ん~高校に入ってからは初めてかな。中学の頃はたまに?二中だったし」


「なんかルナくんの人生って面白そうだよね。波乱万丈って感じで」


「じゃあ俺と一緒にいるか?トラブルもあるけど楽しいことも多いしな」


 と言って恋人繋ぎに移行した。いや、いい雰囲気っぽかったし?


 愛梨は黙り込んだ。多分このまま告白したら付き合えるんだろな~とか考えているとすぐにタワマンの前についた。


「じゃ、また明日な」


 と言って向かい合う。なんかもじもじしてるな、と思いながら彼女を見ていると急に抱きついてきた。そしてパッと体を離す。


「じゃねっ!」


 と真っ赤な顔で言うと愛梨は玄関ホールに駆けていった。

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