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NTRゲー悪役みたいな外見してるけど、これマジでそういう世界じゃないよね?  作者: 小野千春


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第19話

 矢野にアプリから通話をする。1コールおいて即通話がつながった。愛梨にも聞こえるようにスピーカーにしてやる。


「あ、ルナくん動画みた?なんつーか今ちょっとやばくてさ」


「全部みたよ、この動画ってさっきあった出来事って事でいいんだよな?」


「そうそう、ついさっき撮った動画」


「あの正座させられてた奴らは今どうしてんの?」


「今目の前で制服着てるとこ」


 ガチでついさっきの出来事すぎてちょっと笑ってしまう。


「お前これ普通に捕まるんじゃねえの?」


「いやーそうなんだよね、最初はキレててやっちゃったんだけど…だから2本目の動画を一応撮ったんだけどさ」


 うーん。面白そうだし、愛梨の前でこの事件をバシッと解決してやるか。暇だしな。とりあえず矢野と4人を呼び出してみよう。矢野の高校はこの公園ともそう離れてない。


「俺いまさ、俺の家の近くのでかい公園にいるんだよね。分かるっしょ?そうそう、池とかスタバとかあるあそこ。あそこに全員連れてこいよ。バスケのコート辺りにいるからさ」







 愛梨に矢野の昔話とか、俺との関係とかを話しながら30分ほど時間をつぶしていると矢野と愉快な仲間たちがやってきた。4人がとぼとぼ前を歩き、少し後ろから矢野が見張っている。脅しつけてここまでこさせた事がよく分かる構図だ。


「ルナくーん!」


 俺を認めた矢野が大きく手をふる。俺の姿を見た4人は絶望的な顔をしている。あらま、女2人が泣き出した。まるでこれから身体を売って金を稼いでこいと脅されてるような泣きっぷりだ。


「おつかれー、とりあえずこっちこいよ」


 泣いてる女を無視して明るく声をかける。


 フェンスに囲まれたバスケのコートに入る。辺りは既に薄暗いがコートの中は煌々と照明に照らされている。誰もいないが、後からくる奴の邪魔にならないようにコート脇のスペースに寄る。


「んじゃまぁお前等とりあえず座れよ」


 先輩なんだろうが気にせず4人に命令する。4人は従順に従った。矢野をちょっと引っ張って、俺と愛梨の3人でまずは話すことにした。


「ルナくん、これ彼女?マジクソ可愛いやん」


 呑気な事を言ってるなコイツ。愛梨はあははと愛想笑いしながら俺の背中にすっと隠れた。


「まだ彼女じゃねーよ。てか、んなことよりやり過ぎだろ。なんであっこまでやってんだよ」


 まぁ気持ちは大体分かるが聞いてみる。


「えーっと、ボコったのはまぁムカついたから」


 それは分かる。俺は絶対に嘘告とかされないだろうが、もしされたら俺もボコるかも。


「んで、男だけボコして全裸土下座させて終わらせようと思ったんだけど、女になにもしなかったらチクられるかとおもってさ。で、女も下着にして土下座させた感じ」


 まぁ分かる。理解は可能だ。


「んで、女に下着まで脱げって言っちゃって、実際あいつらが脱いでる途中にマジやべえって気付いて、それで動画回して、動画あるなら大丈夫かなって」


 まぁそうだろうな。


「で、あとは身分証撮ったのは、家とか知られてたら余計、変な真似はしないかなって」


 まぁ理解はできる。


「ルナくんに動画送ったのは、さすがに俺も夜道で背後から襲われたりしたらヤバいから、俺になんかあっても友達が動画もってっからって意味で送った感じ」


 んー理解できる。できてしまう。


 非常にロジカルだ。完全にチンピラのロジックではあるが。まぁ概ね俺が想像していた通りの理由だ。愛梨は神妙な顔をして聞いている。こんなバカのしょうもないロジックをそんな顔で聞かなくていいですよ、と言ってあげたくなる。


「まぁ大体分かったけど、お前これからどうしたいの?」


「いやもう、全然スッキリしたから終わりにしたい。っつか無かったことにしたいんだけど」


「ま、そうだよな」


 そりゃそうだよな。


「あいつらって、俺が動画持ってるって知ってんの?」


 重要な確認事項だ。


「ルナくんが持ってるとは言ってないけど、友達に送ったとは言ってる」


 なるほどね。






 4人の元にもどる。俯いて、恐らく小声でなにか話していたが、俺達が近づくと無言になった。


 愛梨と俺、矢野と4人の総勢7人で小さな円を描くように車座になって座る。さて、どうするか。これを丸く収めて、なおかつ俺に絶対に被害がでないようにしないといけない。まぁ暇つぶしにはいい遊びだ。


 とりあえず4人が正座していて、見てて居心地がいいもんでもないので足を崩させる。


「正座じゃなくていいから。まるで俺がイジメてるみたいじゃん」


 と言うと素直に足を崩した。4人は身を守る用に体育座りになって俯いている。ん~なんか怯えられててだるいな。まぁしょうがないか。矢野に脅されて来たところにいい女をはべらした凶悪そうな外見の男がいたらこうもなるか。


 空気を入れ替えよう。


「ま、お互い悪かったってことで」


 パン、と手を叩いて、他人事だから気軽に言ってみる。


「俺もなにがあったか詳しく知らないけど、えーっとなんだっけ?お前等が嘘告して、矢野を怒らせて、軽くボコられたんだっけ?」


 一部始終動画でみたけどあえて4人が悪い感じで聞いてみる。まぁ発端はこいつらだし。じっと男の1人を見つめる。顔が腫れててシャツが鼻血かなんかで血まみれになってるので仮称で血塗れシャツくんとする。


「そ、そうです。すみませんでした」と血塗れシャツくんは土下座しようとするので手で制する。やめてね、土下座強要したみたいになんじゃん。「すみませんでした」と他3人も頭を下げてくる。うむうむ、反省しておる。


 この調子なら動画消したらなんとかなりそうだ。お前らに振るわれた暴力は俺らの間じゃ挨拶程度の軽いものって方向性でいくか。幸い骨折とかもなさそうだし、喧嘩両成敗の方向に持っていこう。こいつらが周囲に変な説明さえしなければ、解決だ。


「まずなんで嘘告のターゲットに矢野くんを狙ったの?」


 愛梨が急に聞いた。俺につられてタメ語になってるな。可愛い。確かにそれは俺も気になる。関係値0だったはずだ。


「えっと、あの、放課後に俺等でゲームやってて、負けた人が罰ゲームで嘘告するってことになりまして…。それで、嘘告はいつやってもよかったんですが、俺等が帰ってたら、その、矢野さんが1人で歩いてたんで、その…。あと、同級生相手だと面倒なことになるかもってのもあって…」


 血塗れシャツくんはぼそぼそとそういうと黙り込んだ。あぁ、なるほど。矢野はなんか小汚いし髪ボサボサだし陰キャっぽいもんな。1年の陰キャにちょっと嘘告しかけて青春の1ページにしようってかんじか。


 運が悪かったなこいつら。矢野は体格は普通だが手加減なく相手を殴れるタイプの人間だ。


「お前もなんでそんな時間まで学校のこってたん?部活とかどうせやってねえだろ」


 矢野に聞いてみる。放課後になってこいつらがゲーム終えた時間まで残ってた意味が分からん。


「いや、昼休みからずっと寝ててさぁ。んで起きたら教室に誰もいなくなっててさ。体育かなんかあったかな~?と思って時間みたら下校時間なってるし。んで帰ろうと思ったらそこの女に声かけられてさぁ」


 こいつの高校生活大丈夫そ?まぁどうでもいいか。

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