第17話
入学して1ヶ月ほどが過ぎた。
クラスでも話しかけてくる奴が増えてきたし、昼飯はマコトもたまにきたりして楽しくやっている。変に怯えられることもなくなった。
あれから愛梨との仲も非常に順調である。学校では相変わらず佐藤の周りにいるが、放課後時間があえば一緒に帰るし、ランニングも誘ってくる。もう告ったら付き合えるんじゃね?とか思ってるが、付き合う前のこの時間が楽しいんだよな。
前の彼女は、慈母先輩仕込みのテクニックを披露したら、性欲丸出しの中学生男子みたいにそればっかり求めてきたから今は普通のデートみたいなのが楽しい。家にチビ共がいる時にも求めてきたからな。
今日も愛梨と公園のスタバにきていた。
「もうすぐ中間近いけど勉強してる?」
「んーやばいかも。ルナくんって勉強できるタイプ?」
この高校ではどうだろう。授業で分からないとこはないから平均よりは確実に上だと思うが、まだ順位が出てないからな。
「まぁできる方だとは思うけど、順位とか出てないから周りのレベルが分からんな」
「相変わらず自信家だね~!私は結構無理してここに入ったタイプだから、ヤバいかも」
「俺次の中間は結構自信あるし勉強会でもやる?図書館でも俺の家とかでもいいけど」
話してたら大体分かるが、愛梨より多分俺のほうが勉強はできるだろう。どっちかといえば家で勉強会してえな~とか考えていると机に置いていたスマホが震えた。俺は人と話している時、スマホをあまりいじらないタイプだ。
「いいの!教えてほしいかも。理系科目がマジ苦手でさぁ」
「全然いいよ、んじゃテスト前の部活ない時は一緒に勉強しよっか」
さっきからスマホが短く何度も震えている。めんどくせえ、なんだよ。
「ありがと!てかなんかさっきから何通もメッセージ来てるみたいだけど大丈夫?」
いい加減俺も気になってきたのでスマホ手にとる。
別に人に見られて困るやり取りはないので、特に隣の愛梨を気にせずメッセージアプリを開く。
「矢野…?」
「矢野?誰それ、クラスにいたっけ」
「いや、中学の時の友達」
中学の時のただの友達だ。変わった奴だが。高校も違うし何の用だ?
トーク画面を開くと画像がズラッと送られてきている。特に人物の画像とか風景の画像でないところに嫌な予感を覚える。画像が小さいが身分証か?
一枚目の画像をタップすると、それは誰かのマイナンバーカードだった。顔写真は見たことない男だ。名前を見るが知らない名前。なんでこんな画像が送られてくるか意味不明だ。
「え、なにこれ…」
愛梨が言う。
「いや、俺にもわからん。」
スワイプして次の画像を表示する。保険証だ。マイナンバーカードと同名。生年月日を見ると、俺の1個上だ。
更に次の画像を表示する。また誰かの保険証。女で1個上。その次の画像は更にしらない奴のマイナンバーカード。知らない男の写真で年齢は1個上。
一通り全部の画像を見ると大体4人の身分証の画像だ。男2、女2で全員顔も名前も知らない。なんでこんなのが送られて来てるのか意味不明で奇妙だ。
「えっと、これ知ってる人たち?」
「知らん。こんな名前聞いたこともない」
「いや、こわいこわい。なんで他人の保険証とかマイナンバーの画像が送られて来てるの?」
愛梨を見ると何故か俺を見てドン引きしている。いや、確かに。これ俺が送らせてるとか思われてないか?まずい、まずすぎる。
「いや、マジで違うから!マジ知らんから!なんでこんなんが送られてきてるのか意味不明だから!」
愛梨は俺を疑いの目で見ている。あーマジ。なんでこうなってんだ。矢野のクソ野郎。ついさっきまでいい雰囲気だったのに。
「なんかヤバいことやってないよね…?闇バイトとか」
うわぁ。心外だ。心外だが確かにそう思うのも無理はないかもしれない。俺が愛梨だったら、こいつ闇バイトの元締めで使い捨て要員の身分証控えてるんだなとか思っちゃうもん。俺こんな見た目だし?
「いや、マジでやってねえって!ちょっとこいつに通話して何のつもりか確認してみるわ」
マジで矢野のカス野郎、ふざけた理由だったらシバキあげよう。そう思って矢野に通話をかけようとしたところ、1つの動画が送られてきた。




