第15話
曲がり角で隠れていた愛梨をなだめすかして、公園のスタバまでやってきた。
金持ちでもないので適当に安いアイスコーヒーのLサイズを頼んで、公園を見渡せるカウンター席に並んで座る。
「なんか不思議だな、こんな風にルナくんと話せるようになるなんて」
「まだ出会って間もない相手にいうセリフじゃないな」
「あはは、まぁそうかもね」
愛梨はクリームがのった甘そうなフラペチーノをちびちび飲んでいる。
「俺は仲良くしたいなと思ってたけどね」
「それって私と?私達4人と?」
「まぁ正直言うと、佐藤の周りの4人かな」
可愛い子と仲良くしたくない奴はいないだろ。クラスの男子は皆お前等とよろしくしたいと思ってるさ。
「正直だねー。まぁ中学の頃から私達すごい目立ってたっぽいから、そうかもね」
客観的に見るとそうだろう。
「佐藤ってなんか、すごいとこあんの?正直あんなハーレム状態で羨ましいわあいつ」
「あはは、佐藤くんに嫉妬してるの?」
嫉妬か。羨ましいとは思うが、嫉妬ではない。と思う。
「嫉妬…とは違うんだよなー。なんつうか、納得がほしい的な?あいつが何か頑張ってて、例えば4ヶ国語ペラペラですとか、なんかのゲームで世界1位とか、そういうすごい奴だったら納得できるじゃん」
そういう風に見えないから、なんか見てて苛つくんだよな。苛つかれてる方からしたら、ほっとけやって話だとは分かってるけどさ。いや、嫉妬ではない。
「あぁー…、なんか分かるかも。うーん、多分そういうすごいとこはないかなぁ。美人な幼馴染さん2人がいて、あぁ三木さんと早見さんって子ね、あとはゲーム仲間の子と、私だから、なんかたまたま集まってるだけじゃないかな?」
たまたまであんなに美少女に囲まれたら苦労せんわ。まぁでも俺もたまたま昨日出会った美少女とこうしてカフェでご一緒してるわけだから、文句を言う筋合いはないか。
「俺と一緒に帰るって言って反対とかされなかった?」
普通に未だにビビられてそうだしなんか言われてそう。
「健太くんに、ルナくんとつるんで大丈夫?とは心配されたよ」
まぁそうだろうな。てかそんな優しい言い方かも不明だが。こんな美少女が自分の周りから離れていこうとしてるんだから、どんな言い方をされてても不思議じゃない。
「見た目だけでそういう事言われるのは心外だな」
「いや、なんかさ、見た目だけじゃなくてちょっと噂も出回ってるんだよね」
「噂?」
「ルナくんって二中通ってたんだよね。で、元二中の子にルナくんのこと聞いてる人たちがいるらしくてさ」
元二中ってたしか5人くらいは来てるはずだ。
「中学の時の俺の噂か。ろくな噂じゃなさそうだが」
「うーん、例えば中1の時に先輩達をボコボコにして二中の番長になったらしいとか」
間違ってない。というか概ね合っている。別に番長とかいうださい職業についた覚えはないが。
「番長ではないけど、まぁ合ってるな」
「下級生を定期的に脅して回ってたとか」
間違ってない。というか概ね合っている。下の双子がイジメられないようにパトロールしていた。
「1個下に姉弟がいるから、そいつらがイジメられないようにはしてたな」
「夜の街で遊び回ってたとか」
間違ってない。というか概ね合っている。ゲーセンとかコンビニ前でたむろったりとか、そんなもんだ。別に酒もタバコもカツアゲも女遊びもやってないんだからいいだろう。
「まぁ夜の街で遊ぶのはそういうのしたくなるお年頃だしな。悪いことしてないし」
「教師にも何も言われないから、好き放題やってたとか」
間違ってない。というか概ね合っている。好き放題やってはいた。教師に何も言われないというか、俺が二中を平定している間はイジメや各種問題が激減していたからむしろ教師に好かれていた。俺が今の高校に行くときに外見は怖いですが真面目な生徒ですって申し送りしてくれたくらいだ。
「んーなんかなまじ情報が正しいだけに悪意を感じるんだが。ってか二中の奴らがそんな噂流すと思えないんだが」
元二中でここにこれるような奴は、俺以外はガリ勉なんじゃないだろうか。誰が来てるか知らんが、そんな奴には俺の存在は確実に恩恵だったはずだ。俺がいなかったら確実にイジメられてたような奴だろうし。
「んー?そうなんだ。あとはなんか人の女を寝取っていたっていう噂もあるんだけど」
間違っている。そんな事をした事実はない。
「ありえんわ、そんな事やったことないから。マジで。見た目で言われてんじゃないの?」
誰がそんな噂流してんだよ。しかも愛梨にも伝わってるし。マジしばいたろか。




