第12話
朝から最高の気分で登校する。
教室に入ると愛梨が輝く笑顔でおはよっと挨拶してくる。隣の主人公くんがギョッとした顔をしているのを無視しておはよ~と返す。クラスの不良くんと美少女ちゃんが挨拶をして教室中がざわめいている中、自分の席へと向かった。
「ねぇねぇ、小鳥遊さんと仲良くなったの?」
こいつも気軽に声をかけてくるようになったもんだ。ぼっちこと大輝が聞いてきた。
「昨日ちょっとな。てかそんなラノベみたいな名前じゃなくて高橋な。」
ったくラノベ脳がよぉ、人の名前くらい把握しとけよ。昨日の自分を棚に上げて脳内で軽くイジる。そのまま適当に雑談して午前中を過ごして昼休みとなった。
いつものようにぼっち3人で飯を食いながら瞳と大輝のアニメ雑談を聞き流していると、声をかけられた。
「俺もご一緒していいかな?」
購買のパンをぶら下げた爽やか茶髪イケメンくんだ。マコトって名前は知っている。話しかけられたこともある。色んな奴に話しかけているいわゆる陽キャだ。
「いいけど、どうした?」
ただでさえ3人の昼飯で狭いぼっちの机に隙間を開けてやる。マコトは離席している俺の隣の女の椅子を勝手に拝借して、ぼっちの机に4人の昼飯がおかれた。瞳の逆ハー状態だ。
「いやー、朝急にルナくんと高橋さんが仲良くなってたからなにがあったのかなって。皆気になってたみたいだし」
何こいつ。情報通サポートキャラが情報集めに来たのか?なんか見た目もそんな感じだし。素直に全部教えてもいいが、愛梨にあんな不良を頼るのやめなよと言う奴がいないとも限らない。
「昨日近所でランニングしてたらたまたま会って会話したくらいの関係。家も近かったし。てか俺に聞くんだ?愛梨の方に聞けよ」
愛梨の方が聞きやすかろうに。
「いや俺、高橋さんと同中でさ、中学の時にフラレてるから気まずいんだよね」
マジかよこいつ。笑いそうになったじゃねえか。そりゃ聞けねーわ。なんか大輝も瞳も気まずそうにしてるし。なんて返せばいいんだよ。
「ていうか俺、あそこの4人全員に告ってフラレてるからあそこに近づくのもしんどいんだよね」
ブハッっと吹き出してしまった。口にモノが入っている状態じゃなくてよかった。とんでもない事を急に喋るなこいつマジで。つか、こいつおもろいやん。素直な奴で急に好きになってきた。
「お前おもろいな。てか男だな。かっこいいじゃん」
笑いながら言って、握手の手を差し出した。あそこ4人全員に告白するとは根性が決まっている。率直にいってそういう奴は好きだ。
「ウケたならよかったよ、仲良くしよう」
マコトは爽やかな笑みを浮かべて手を握り返してきた。なぜかその後で大輝と瞳とも握手を交わしている。
「あそこの4人とあの男はどういう関係なん?正直言っちゃ悪いが釣り合ってる風には見えないんだが」
同じ中学なら知ってるだろう。前々から気になっていたことを聞いてみる。
「あーだよね。俺もそう思って近づいたんだけど、あの子達めっちゃガード固くてさ。だからルナくんが急に仲良くなってたからどうやったのか気になってさ」
そうか?昨日は向こうから話しかけてきたが?こいつも俺ほどではないがイケメンではある。なんかNTRゲームの補正でもかかってんのか?最近は特に考えもしなかった実はNTRゲー世界論がまたふと頭に浮かぶ。まぁいい。
「んー昨日話しててそんな感じはしなかったけどそうなんだな。マジで特別な事はしてない、普通に喋っただけ。んであの4人とあの男はどういう関係?」
何喋ったか言いたくないので軽く流す。
「普通に喋っただけ、か…。あの4人と佐藤の関係は、えーっとまずあの清楚系の子とギャルっぽい子、三木さんと早見さんっていうんだけど、あの子達は佐藤と幼馴染で家も超近い」
ほうほう、王道やん。幼馴染か。それであそこまでべったりくっつくもんか?ぼっち三人衆は興味津々だ。瞳も王道だね…とか言ってる。うんうんと頷いて先を促す。
「で、あのヘッドホン首にかけてる子は九条さん。口数少ないし情報もあんまりないけど、なんか佐藤とはゲーム仲間らしい」
ゲーム仲間か。ボイチャとかしてるなら割と深い仲なのか?俺自身がゲームあんまやらんしよくわからんな。チビ共の分野だ。
「最後に高橋さんだけど、佐藤との関係はよく分からないかな。なんか、いつの間にか佐藤達のグループに入ってた感じ。あの子は部活も入ってるし一番周りと交流するタイプだから、まぁそう考えるとルナくんと仲良くなってるのも不思議ではないのかな?」
なるほど。まぁなんとなく分かった。分かったところでどうかなるもんでもないが、佐藤の周りにあんな美少女ちゃんが4人もいるのはもったいない。イケメンくんが誰かと付き合いたいなら手助けするのも楽しそうだ。




