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過去の記憶がない少年傭兵の父親は、実は敵国の大統領だった件  作者: SOUCHAN
第3章:ザワクラウト編

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第3章:ザワクラウト編 フレンチの過去

※注意:この作品はフィクションです。 作品に登場する【国や地名】【兵器】【人物名】は事実とは一切関係ありません。

 ――遡ること5年前。ザワクラウトにあるトスト邸。ある一室に1人の少年がいた。それは、後にトミと行動するフレンチだった。



フレンチ

「ふわぁ~……今日も良い天気だな。」



 彼はベッドから起き上がる。私服用の半袖半ズボンに着替える。



――コン、コン、コン



『お坊ちゃま。入ってよろしいですか?』



 部屋のドアからノック音と丁寧口調の女性の声。



フレンチ

「あっ、入って良いよ!」



―――ガチャッ



 ドアが開く。入ってきたのは、黒と白のメイド服を着用した1人の女性だ。



アテーナ

「失礼します。フレンチお坊ちゃま、おはようございます。」



 それは、後の理想主義陸軍中将のアテーナ・アイギスだった。



フレンチ

「おはよう、アテーナ。えへへ、いつもありがとう。」



アテーナ

「いえ、私はフレンチお坊ちゃまの担当です。それよりお坊ちゃま。朝食の準備が出来ています。」



フレンチ

「わぁ!もう朝食の時間か。わかった、今行く。」



 フレンチは家族と一緒に食堂で朝食。焼きたてパン、ベーコン、スクランブルエッグ。そして新鮮な野菜サラダを食べる。



フレンチ

「(フフフ、こういうので良いんだ。こういうので。)」



 朝食後。フレンチは1人で、芝生の庭園で運動する。そこには、彼を見守るアテーナもいた。

 


フレンチ

「1、2。1、2……」



アテーナ

「さすがお坊ちゃま。運動神経抜群ですね。」



フレンチ

「そ、そんなことないよ。ボクはあくまで、動くことが好きだからやってるだけだよ。」



アテーナ

「ウフフ、それだけでも良いことです。ただし、運動し過ぎには気を付けてください。怪我をする恐れもあります。」



フレンチ

「アテーナは心配性だね。でも、そこまで気使ってくれてありがとう。」



アテーナ

「私は、お坊ちゃまの面倒担当です。相談もいつでも受けてあげます。」



 2人は互いに敬愛。時には2人だけで口論する日もあったが、2人の仲は崩れなかった。





――そんなある日。ザワクラウト内に大きなニュース



『本日未明。ライナス大統領とザワクラウト市長が、カリブルストの大統領邸にて。』



『ザワクラウトを理想主義地域に決定したと発表しました。大統領と市長は笑顔で握手を交わしました。』



 その日の夜。トスト邸の食堂では祝宴会。主はフレンチの父親で軍人。理想主義派の人間だった。



フレンチ

「……なんで?なんでザワクラウトが理想主義地域?」



 祝宴後。フレンチは自分の部屋に戻る。だが彼は理想主義を嫌っていた……



フレンチ

「理想主義は自分たちのことしか考えない連中。いずれ……ライナスに支配される。」



 彼は窓を見る。外は漆黒の夜に包まれていた



アテーナ

「……お坊ちゃま……。」



 この時ドアの前にはアテーナがいた。彼女は彼の本音を盗み聞きしていた。



――翌朝。外は激しい雨が降り注ぐ



アテーナ

「お坊ちゃま。朝食の時間でございます。」



フレンチ

「ありがとう。……でも、正直まだお腹空いていない。えへへ、昨日食べ過ぎちゃったかな……?」



 フレンチの部屋。フレンチとアテーナがいた



アテーナ

「……お坊ちゃま。本当のこと話してください。」



フレンチ

「えっ?何のこと?」



 フレンチは首をかしげる



アテーナ

「実は聞いていました。お坊ちゃまが、理想主義を嫌っていることを。」



フレンチ

「!?……聞いていたのか?」



アテーナ

「はい、申し訳ございません。ただ気になって仕方なかったです。」



フレンチ

「わかった。アテーナ、正直に話すよ。」



フレンチ

「ボクは理想主義が嫌いだ。理想郷を作るには、目的のためなら手段を選ばない。」



フレンチ

「一方、自由主義はただの自由ではない。今の統制を解放して平和に暮らすようにする。理想主義とは大違いだ。」



アテーナ

「そ、そんな……お坊ちゃま!前言撤回してください。」



 アテーナは鋭い視線でフレンチを見る



フレンチ

「ごめん、それは出来ない。もしかしてアテーナは、理想主義派なの?」



アテーナ

「……はい。私は理想主義派です。正直言いますと、お坊ちゃま以外皆さん、理想主義派です。自由主義なんて誰もいません。」



フレンチ

「そうか……わかった。……食堂に行く。」



 フレンチは食堂に行く。そこには、両親がいた。テーブルには出来たての料理が並んでいる



――食事開始から数分後



父親

「フレンチ、どうした?お腹いっぱいか?」



母親

「フレンチ、無理しなくて良いのよ?今日のお昼に取っておいても良いわ。」



フレンチ

「ねぇ……1つ聞きたいことがある。」



父親

「何だ?言ってみろ。」



 3人はスプーンとフォークを静かに置く。食堂は静寂に包まれる。



フレンチ

「どうして……ザワクラウトが、理想主義地域なの?」



父親

「ハハハ、簡単なことだ。ライナス大統領は、バレンタインブルクの理想郷を築くお方。つまり、理想主義こそ平和の象徴だ。」



母親

「フフフ、あなたの言う通りよ。自由主義なんて自由の塊に過ぎないわ。」



フレンチ

「理想郷?平和?……そんなのデタラメだ!」



 フレンチは勢いよく立ち上がる。



フレンチ

「ライナスは自分のことしか考えない人。理想郷なんて、ただの戯れ言だ!自由主義こそ平和の象徴だ!」



 周囲にいた執事やメイドたちは目を見開く



父親

「ほう……理想主義に反するのか?謝るなら今の内だぞ?ここにいる全員……いやこの地域にいる人は、理想主義を支持している人たちだ。」



 父親は静かに立ち上がる。彼は、フレンチに鋭い視線を向ける。



母親

「そうよフレンチ、今さら自由主義を支持しても無意味よ。もし刃向かったら、大統領の怒りを買って、夫の仕事が失うのよ。」



フレンチ

「ごめん、それは出来ない。ボクは理想主義なんて――」



アテーナ

「お坊ちゃま!!いい加減にしなさい!」



フレンチ

「アテーナ……?」



 フレンチの部屋を掃除していたアテーナが、血相変えて現れる。



アテーナ

「奥方様の言う通り。今さら自由主義を支持しても無意味です!」



アテーナ

「今朝、ザワクラウトにいた自由主義支持派の政治家たちは、市長や軍隊により追放されたのです。」



フレンチ

「追放!?そ、それが理想主義のやり方なの?全く、人の心がない奴らだな。」



父親

「フレンチ!言葉を慎んで謝るんだ!」



母親

「フレンチ、謝りなさい!」



フレンチ

「うるさい!!もういいよ……ザワクラウトなんてうんざりだ!……アテーナ、さよなら。」



 フレンチはウエストバッグを持って屋敷出入口に向かう。



アテーナ

「待ちなさい!お坊ちゃま!」



 屋敷の出入口扉前。アテーナはフレンチの腕を掴む



フレンチ

「離せよ!!……おい!誰かこの女を止めてくれ!」



 周囲はじぃ~と視線でフレンチを見ている



――次の瞬間



フレンチ

「邪魔だよ!もうからかうな!」



 フレンチは掴まれていた腕を振り払う。彼は扉を開けて、雨の中を駆け走っていった……



アテーナ

「お坊ちゃま……お坊ちゃま……。」



 玄関の冷たい大理石にアテーナは両膝付く。アテーナは両手で顔を隠す



父親

「アテーナ、悲しむな。あいつが決めたことだ。さぁ……温かい紅茶でも飲んで休みなさい。」



母親

「アテーナさん。私が代わりに紅茶を淹れてあげます。ほら、立ちなさい。ここにいたら風邪ひきますよ。」



アテーナ

「ありがとうございます。」



 父親は玄関扉を閉めて鍵を掛ける。アテーナはゆっくりと立ち上がる。



アテーナ

「フレンチくん……いずれ思い知るわ。君の行動が無駄であることを。ウフフッ。」



 アテーナは重厚な玄関扉を見ながら、不敵な笑みを浮かべるのだった……



第3話:ザワクラウト編 フレンチの過去 ~完~

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※読み飛ばしていただいて大丈夫です。


フレンチの父親

年齢・性別 50・男性

設定:バレンタインブルク陸軍大佐。理想主義派。トスト邸の主でフレンチの父親。威厳のある風格。


フレンチの母親

年齢・性別 48歳・女性

設定:フレンチの母親。理想主義を愛し、自由主義を嫌う人物。家族以外のトスト邸の執事やメイドたちに対して優しく接する。



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