第3章:ザワクラウト編 前編
※注意:この作品はフィクションです。 作品に登場する【国や地名】【兵器】【人物名】は事実とは一切関係ありません。
自由軍が自由主義の首都ヴィール奪還後。自由軍はライナスに降伏や停戦を提案。ライナスはこれを拒否し、戦闘継続を進めた。
――1ヶ月後、1990年12月上旬。
フィン
「これより我々は、ザワクラウトに進軍する。」
ヴィール・自由主義最高本部の司令室。そこには、中央の椅子に座るフィン。目の前には、リチャードたちが立っていた。
フィン
「ザワクラウトは農業や漁業が盛んな地域。理想主義軍にとっては、食糧を確保する場所だ。」
フィンは、机の上に広げられた地図を見て説明した。
リチャード
「なるほど。ということは、ザワクラウトを攻略してしまえば、理想主義軍は大きな打撃を受けるということですか?」
フィン
「うん、その通りだ。しかし問題は、フィン解放戦で、我が軍の兵士が犠牲や疲弊している。」
フィン
「また、ザワクラウトの司令官はアテーナ・アイギス。若い女性とはいえ文武両道。守備を強化しているに違いない。」
フィンは腕組んで両目を瞑りながら、低いため息をする。
リチャード
「最高司令官。ここはザワクラウトに潜入して、敵の動きを探るのが良いかと思います。」
フィン
「偵察?誰を行かせる?」
フィンは両目を開けて尋ねる。
リチャード
「トミ、フレンチ。2人はザワクラウトの町に潜入。偵察をしてほしい。出来るか?」
リチャードはトミとフレンチに視線を向ける。2人はお互い目を見て頷く。
トミ&フレンチ
「はい、行けます。」
2人は真剣な眼差しで答える。フィンは立ち上がり決断を下す。
フィン
「……よし!では命令を伝える。傭兵2人はザワクラウトに潜入して偵察活動。リチャードは軍を整え出撃準備せよ。」
自由軍一同
「はっ!!」
フィンは自由軍と少年傭兵に命令を出す。
――数日後の朝。2人は理想主義軍陸軍の軍服を着用して、ザワクラウトの町に潜入。2手に分かれて偵察活動していた。
トミ(無線)
「こちらトミ。フレンチ、聞こえるか?」
フレンチ(無線)
「こちらフレンチ。トミ、聞こえるよ。」
2人は携帯無線機を使って会話する。トミは町広場、フレンチは軍用施設を偵察していた。
トミ(無線)
「広場は屋台がたくさんあり、多くの人で賑わっている。……まるで、戦いに興味なさそうだ。」
フレンチ(無線)
「なるほど。ちなみにボクは今、陸軍基地付近にいるけど……こっちは賑わうどころか、静かだ。」
トミ(無線)
「わかった。くれぐれも、警戒して偵察しよう。特にアテーナは、優れた洞察力を持つ女将軍だ。」
フレンチ(無線)
「う、うんっ。……わかった。」
通話後。2人は携帯無線機の電源を消した。
トミは、広場にいる1人の理想主義陸軍兵に声を掛ける。
トミ
「あの……ちょっと良いか?」
『んっ?どうした?』
トミ
「守備は強化しているのか?見た感じ、手薄で、自由軍が来るぞ?」
『ハハハ。アテーナ将軍だ曰く、自由軍は疲弊しているから攻めて来ないと言っている。』
トミ
「(くっ!読まれているようだな。)」
『ここだけの話。自由軍が雇った傭兵のスパイが潜入しているらしい。』
トミ
「(何!?なぜわかったんだ?……ゆっくりしている暇はないな。)」
衝撃事実を知る。どうやら2人の動きは、既に悟られていたようだ。
トミ
「そうか、わかった。」
トミはその場から去る。人気のない路地裏。そこでトミは、携帯無線機で連絡する。
トミ
「フレンチ、聞こえるか?」
――ツー、ツー、ツー……
しかし。無線機から聞こえるのは、ノイズ音だった。トミは無線機の電源を切る。
トミ
「くそっ!……フレンチ、何があったんだ?」
――ここで何が起こったのかフレンチ側に切り替えよう。
フレンチは陸軍基地偵察後。休憩するためカフェに入っていた。店内は賑わっている中、フレンチは人気のない一番奥の席にいた。
フレンチ
「よし……これで情報は集まった。」
フレンチ
「でも妙だな……なぜ守りが薄いんだ?」
――コツ、コツ、コツ……
その時、ブーツの音がフレンチに近付く。その足音は、フレンチの前で止まる。
『あらあら、お疲れ様です。』
フレンチ
「お疲れ様です。アテーナ将軍。」
現れられたのは、アテーナ・アイギスだった。フレンチは立ち上がり敬礼する。
アテーナ
「ウフフ、敬礼出来て偉いですよ……フレンチ・トストくん。」
フレンチ
「!?……将軍、私はフレンチではありません。」
アテーナ
「嘘付いてもダメですよ?私、顔でわかるから。正直に言いなさい、フレンチくん。」
フレンチは理想主義軍の兵士の演技する。しかしアテーナの鋭い洞察力。フレンチは怯え、思わず腰を引いて椅子に座ってしまう。
フレンチ
「う、う……た、助けて……。」
アテーナ
「よっこいしょ。ウフフ、フレンチくんの顔、かわいい♪お坊ちゃまを思い出すわ。」
微笑むアテーナはフレンチの隣に座る。
フレンチ
「こ、来ないで!それと……お坊ちゃまって呼ぶな。」
アテーナ
「ウフフ、かわいい。でも、今なら間に合います。この地で過ごせば、君は争う必要はありません。」
フレンチ
「何が……言いたい?」
アテーナ
「思い出してください。今から5年前のこと。まだ君が、13歳だった頃です。」
第3章 ザワクラウト 前編 ~完~
※読み飛ばしていただいて大丈夫です。
アテーナ・アイギス
年齢・性別 35・女性
設定:理想主義陸軍中将。ザワクラウト方面司令官。女性将軍とはいえ文武両道。実は、フレンチとは縁があるらしい。




