第2章:ヴィール編 前編
※注意:この作品はフィクションです。 作品に登場する【国や地名】【兵器】【人物名】は事実とは一切関係ありません。
1990年11月上旬。
リチャード率いる自由軍が、プレッツェル要塞を奪還して数日後。
元自由主義の首都ヴィール・前線地帯。エリカ率いる自由陸軍。理想主義陸軍と戦闘していた。
エリカ
「くっ!激しい銃撃の雨ね。あの雲をどうにかしたい。」
大きな鉛玉を雨のように降らす雲。それは、理想主義陸軍の装甲車だった。
――ババババーン!ババババーン!
数台の装甲車から、容赦ない機銃攻撃。
『ぐはっ!』『ぐへッ』『うわぁ!?』
多くの自由軍兵士がやられていく。
トミ
「エリカ中佐!このままでは全滅します。ここは一旦、陸軍基地に後退して雨宿りしましょう。」
愛銃のレバーアクション式ライフルを持つトミ。彼は後退を提案した。エリカは周囲を見る。
エリカ
「……そうね。このままでは、せっかくの服が台無しになる。よし!後退、後退だ~!!」
エリカは後退命令を出す。エリカ軍は陸軍基地に後退開始。一方。理想主義陸軍は追撃せず、前線の守備を強化した。
一方その頃。元自由主義首都ヴィール市内・最高本部の司令室。中央の椅子に座る男性。理想主義陸軍大将のラグナ・ロックだ。
ラグナ
「敵を追い返したか……よろしい。引き続き、前線地帯の守備を強化せよ!」
椅子に座りながら、彼は幹部に命令する。
ラグナの部下1
「はっ!承知しました。」
幹部は司令室から退室。重厚の扉がゆっくり閉まる。室内は静寂に包まれる。
ラグナ
「フフフ。自由主義には、あの少年傭兵がいるようだな。どんな人物か楽しみだな。」
ラグナは立ち上がり、窓の外を見ながら不適な笑みで独り言を言った。
――それから3日後の朝。トミとエリカ軍は、再び前線地帯に進軍。守備が強化された理想主義陸軍と再戦する。
エリカ
「相変わらず、酷い雨ね。……よし!重火器隊、あの大雲を攻撃せよ!他の者は重火器隊を援護せよ!」
ドガーン!ドガーン!ドガーン!
重火器から発射した榴弾の音が、戦場に響く。
『うわぁぁぁ!?』『退却せよ~!!』
装甲車は、重火器隊の攻撃で粉砕される。怯える理想主義陸軍は退却する。自由陸軍兵士は歓喜する。
トミ
「敵は混乱しています。エリカ中佐、進軍して前線拠点を制圧しましょう。」
トミは、この機に乗じて前線拠点制圧を提案する。エリカは兵士たちを見て決断を下した。
エリカ
「これより、敵の前線拠点を攻略する!進軍開始~!!」
『うおおおおおおおお!!!』
自由陸軍兵士の軍の雄叫び。エリカ軍は前線拠点に進軍を開始した。
――進軍開始から1時間後……
エリカ
「みんな、ここで一旦休憩よ。」
前線拠点付近の森林地帯。自由陸軍兵士は武器を地面に置く。安心して腰を下ろす。その時だった。
少年
「あれあれ~?こんなところで何してるの?もしかして、ボクと遊びたいの~?」
突然、1人の明るい少年が現れる。迷彩柄の長袖パーカー。迷彩柄のショートパンツを着用していた。
トミは少年の声と顔を見て驚いた。
トミ
「えっ!?……フ、フレンチ?」
トミの声を聞いた少年。次の瞬間。彼は無邪気な表情で、トミに向けて駆け足。
フレンチ
「トミ?ひっさしぶり~♪元気にしてた~?」
フレンチはトミに抱きついた。トミは照れくさくなる。
トミ
「フ、フレンチ……気持ちはわかるけど、は、離れて……くれないかな?」
フレンチは頷き、少し後ろに下がる。
エリカ
「……っで?トミ。その子は誰?」
片手で後ろの髪をかくエリカ。
トミ
「彼の名前は、フレンチ・トスト。歳は、僕と同じ18です。3年前。僕と一緒に、傭兵として行動していました。」
衝撃事実!フレンチは、トミと一緒に傭兵稼業していた。
エリカ
「えっ!?よ、傭兵?……でも、どうして離れたの?」
フレンチは一瞬黙ったが、説明する。
フレンチ
「戦争が起こったある日。ボクとトミは、ヴィールの自由陸軍と一緒に戦闘していた。ところが、理想主義軍の戦いで離れ離れになった。結局ボクは、あちこち彷徨う人になった。……トミ。ごめんね、ボクが臆病で。」
先ほどの笑顔が消え、申し訳ない表情するフレンチ。
トミ
「そんな事言うな。僕たちは戦友だろ?ほら、顔上げていつもの笑顔を見せろ!」
トミは顔を下に向けるフレンチに近付く。トミはフレンチを慰める。
フレンチ
「……うん、そうだね。トミ、ありがとう。」
フレンチは顔を上げて、視線をトミに向ける。フレンチは再び笑顔に戻った。
エリカ
「なるほどね。それでトミ、フレンチ君はどうするの?同行させるの?」
エリカの問いにトミは即座に答えた。
トミ
「はい、連れて行きます。フレンチは、潜入任務が得意分野です。……フレンチ、もう一度僕たちと一緒に行こう!」
トミは笑顔で右手をフレンチに差し伸べる。フレンチも、右手を差し伸べた。
フレンチ
「トミ……わかった。えへへ、潜入任務は任せて♪」
2人は握手をする。こうして、同い年の傭兵コンビが復活した。その後。エリカ軍とトミ、そして新たな仲間のフレンチ。前線拠点に向けて進軍を開始した。
『司令長官!前線地帯、突破されました!』
一方その頃。ラグナは、前線地帯の壊滅を知る。ラグナは、前線拠点の守備の強化を指示した。
そしてその日の満月の夜。前線拠点付近の自由軍の野営地。
エリカ
「トミ、フレンチ。前線拠点の守備が強化されている。どうすれば良いと思う?」
エリカのテント内。エリカ、トミ、フレンチが軍議していた。エリカは、2人を見ながら首をかしげる。
トミ
「さすがラグナ、行動が早い。……中佐、真っ向勝負は難しいです。包囲して弱らせましょう。」
トミは、机の上に広げられた地図を見て提案する。
フレンチ
「待ってトミ!ラグナは知謀に優れている。包囲されても何か対策しているに違いない。だからここは、ボクに任せて。」
腰に両手を当てて胸を張るフレンチ。
エリカ
「自信満々ね……。っで?どんな作戦なの?」
フレンチ
「フッフッフッ。前線拠点の指揮官は無能。奴を前線拠点から追い出せば、前線拠点はもぬけの殻も当然。その時に制圧しよう。」
フレンチの潜入作戦。2人はお互い見合って頷き、作戦を採用した。フレンチは直ちに作戦準備した。
翌朝の快晴。前線拠点の指揮官小屋。中には、温かいコーヒーを飲む理想主義陸軍指揮官がいた。そこに、慌ただしい1人の報告兵が入室する
『報告!指揮官、ラグナ司令長官から救援要請です。ヴィールの街で反乱が起こりました!直ちに出撃せよ、とのことです。』
突然の報告に驚く指揮官。指揮官は急いで数千の兵士を連れてヴィールの街に向かう。そして前線拠点に残った報告兵が小声で呟く。
フレンチ
「フッフッフッ。ボクにかかればお手のものだよ。」
呑気なフレンチは、前線拠点の通信室に入る。通信室には誰1人もいない。代わりに、1台の通信機があった。
【敵指揮官と数千の兵士、追い出し成功。進軍OK♪】
エリカ
「ふっ、相変わらず呑気な子ね。まぁ良いわ、進軍して前線拠点を制圧する!」
フレンチからの電文。それを見て、鼻で笑うエリカ。彼女は、全軍に出撃命令を下す。トミも愛銃を手にして前線拠点に向かった。
その日の夜。前線拠点に到着したトミとエリカ軍。
トミ
「中佐。フレンチが言うには『拠点内にいる敵は、3000の兵士と副官だけ』とのことです。」
エリカ
「よし……全軍に告ぐ!突撃~!!」
『うおおおおおおお!!』
自由軍兵士の雄叫び。拠点にいたフレンチはレバーを引いて、拠点の門を開門。津波のように拠点に押し寄せるエリカ軍。フレンチは、2人と無事に合流した。
一方、プレッツェル要塞にいるリチャード軍。リチャードの元に、一通の報告書が届く。
【エリカ軍、敵前線拠点制圧成功。】
リチャード
「さすがエリカ、良くやった。……よし、我々もヴィール奪取に向けて進軍する!」
『はっ!!』
リチャードは出撃命令を下す。部下たちも賛同した。翌朝。リチャード軍は、エリカ軍ガイル前線拠点に行軍する。
第2章:ヴィール編 前編 ~完~
※読み飛ばしていただいて大丈夫です。
フレンチ・トスト
年齢・性別: 18歳・男性
設定: 天真爛漫で元少年傭兵。トミと共に戦場を駆けていた。しかしある日、戦闘中にトミと離れ離れになる。潜入任務が得意。愛銃はサイレンサー拳銃。
ラグナ・ロック
年齢・性別: 45歳・男性
設定:理想主義陸軍大将。ヴィール方面司令長官。冷静な性格で優れた知謀の持ち主。ヴィールを電撃攻略した。




