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規格外の幼女サバイバル  作者: 沼口ちるの


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並び立つAランクと、埋まらない勘違いの壁

盗賊団を引き渡し、ギルドに戻った私たちを待っていたのは、ギルドマスターの厳つい笑顔だった。


「よくやったお前ら。怪我一つなく、無音で入り口の罠と見張りを消し飛ばし、首領まで生け捕りにするとはな」


ギルドマスターはカイルたち三人を交互に見渡し、満足げに頷いた。

いや、無音で入り口を消し去ったのは私なんだけど。カイルたちは普通に大暴れして中庭を更地一歩手前までぶっ壊していたぞ。


「今回の功績、そしてこれまでの実績を総合し、お前ら青の鼓動を正式にAランクへ昇格させる」


ギルド内にどよめきと歓声が上がった。

カイル、ボルス、ミラの三人は、信じられないというように顔を見合わせ、やがてボロボロと涙を流し始めた。


「やった……俺たち、ついにAランクだ……!」

「ええ! これでやっと、一人前の冒険者よ!」

「うおおおおっ! 母ちゃん、俺やったぞ!」


三人は喜びを爆発させた後、一斉に私の方を振り返った。

その瞳には、並々ならぬ決意と謎の使命感が燃え盛っている。


「ユイちゃん! 見ててくれたかい? 俺たち、やっと君と同じランクになれたよ!」


カイルが両手で私の肩をガシッと掴んだ。


「これからは、私たちも特例Aランクの君と対等なパートナーよ。もう、あんな恐ろしい大魔術を使って一人で背負い込まなくていいからね」

「ああ! 君のその悲しい暗部の過去は、俺たちAランクパーティー青の鼓動が全力で守り抜く!」


(……いや、私は特例でいきなりAになっただけの無職同然なんだけどな。でも、これで完全に彼らに養ってもらえる大義名分ができたぞ)


私は内心で盛大なガッツポーズを決めつつ、一切の感情を排除した冷たい声で答えた。


「……ああ。おめでとう。これからの活躍に期待している」


私が無表情で頷くと、三人はさらに感動の涙をドバーッと流した。

そんな私たちを、ギルドマスターが腕を組みながら深く感心した様子で見つめている。


「ふん。あの手負いの獣のような暗部のガキが、自分から一切手を出さずに若手を育て上げるとはな。あの完璧な隠密技術を見せつけたのも、こいつらに背中で語るためか。これもあの少女なりの、光の世界への歩み寄り……末恐ろしい才能だ」


うん、誰も私の本当の姿を見ていない。

私はただ、手加減が面倒くさいからサボりたかっただけの、元十一歳の少女なんだけど。


こうして私は、国を代表するAランクパーティーの裏の師匠であり、かつ守るべき薄幸の少女という、絶対にバレてはいけない無敵のポジションを確立してしまった。


よし、今夜の祝杯もカイルたちのおごりだ。

私は祝賀会で飲むであろう、あの最高に甘くて黒い炭酸飲料の味を想像し、完璧な能面の裏側でこっそりと舌なめずりをした。

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