遠慮するなよ。――2
登校後、俺たち一年生はバスに乗り、林間学校の舞台となる宿泊施設にやって来た。
その宿泊施設は、隣県の山間部に位置する。敷地内にはキャンプ場と釣り堀が併設されており、付近には、フィールドアスレチックで遊べる森林公園があった。
林間学校は、基本的に班行動となる。
班は六人で一組。俺は、望愛・遊々子・橘さん・犬走さん・八重樫さんと同じ班だ。望愛と遊々子を誘ったら、ふたりと仲のいい橘さんたちが声をかけてきて、その六人で班を組むことになった次第だ。
女子五人に対して男子が俺だけという構成。加えて、五人全員が美少女であるためか、班決め以降、俺はクラスの男子たちに恨めしげな目を向けられている。
到着後、宿泊施設に荷物を置いて、俺たちは森林公園に来ていた。
林間学校では、両日ともレクリエーションが行われる。一日目のレクリエーションは午前の部と午後の部に分かれており、午前の部の舞台となるのが、この森林公園なのだ。
「ケガしないよう、しっかり体を解しておこうね」
橘さんに促されて、俺たちはストレッチを行う。
一日目のレクリエーションは『ポイント競争』。午前の部、午後の部、それぞれで出される課題に挑戦し、合計のポイント数を競うものだ。
ちなみに、順位に応じ、景品として夕飯のおかずが進呈される。一位の景品は、なんと黒毛和牛サーロインステーキだ。気合が入る。
いまからはじまる午前の部は『フィールドアスレチック』だ。森林公園のフィールドアスレチックに挑戦し、クリアできた数に応じてポイントが入る。
ポイントは班員ひとりひとりに与えられ、合計数がその班のポイントとなる。ひとつのアスレチックを全員がクリアする必要はないが、できたほうが有利になるというわけだ。
「目標はどうする?」
「そんなの決まってるじゃん、ネオたん! 一位だよ! ステーキだよ!」
「あ、あたしも頑張るね!」
「お? 望愛ちゃん、気合入ってるねぇ」
八重樫さんの問いかけに犬走さんがイキイキした様子で答え、両手をグーにする望愛を見て、遊々子が口端を上げる。
和気藹々としながらも、全員がやる気十分。理想的なムードと言えるだろう。
「さぁて、と。ここで紀樹から、やる気の出る一言をいただきます」
「とんだ無茶振り!」
ストレッチを終えたところで、遊々子が出し抜けにキラーパスを出してきた。
ギョッとする俺に、女子たちの視線が集まる。
この空気、断れそうにねぇ……やってくれたな、遊々子のやつ。
ニヤニヤ笑いを浮かべる遊々子をジト目で睨み、ガシガシと頭を掻く。
腹を括り、俺は口を開いた。
「えー……全員一丸となって、頑張るぞ!」
「「「「「おーっ!」」」」」
面白みのあることは言えなかったが、女子たちは拳を掲げて応じてくれた。
みんなのノリがよくて、助かった。




