遠慮するなよ。――1
望愛とお出かけした日の翌々日。月曜日。
今日から、一泊二日の林間学校が行われる。
荷物をまとめた俺は、リビングで望愛が来るのを待っていた。
待ち時間を潰す傍ら、LIMEのトーク画面を眺める。
『紀樹:昨日、あんなことがあったけど、大丈夫か?』
『望愛:うん。もう平気』
『紀樹:本当に平気か? 無理してないよな?』
『望愛:大丈夫だって。ノリくんは心配性だなー』
俺が望愛を気にかけているのは、彼女がナンパに遭ったからだ。
ナンパ野郎どもに絡まれた際、望愛はひどく怯えていた。あの日の望愛はそれ以降、ずっと沈んだ様子だったのだから、心配になるのもしかたない。
大丈夫と望愛は言っているが、俺を心配させないよう、強がっている可能性もある。
「だとしたら、フォローしてあげないとな」
決意して、ひとつ頷く。
ピンポーン
その折り、インターホンが鳴った。望愛が到着したようだ。
望愛を出迎えるため、玄関に向かう。
「おはよう、ノリくん!」
ドアを開けた途端、弾けるような笑顔とともに、望愛が元気よく挨拶してきた。脳天気なほどの陽気さだ。
昨日のショックを引きずっているのでは、と懸念していた俺は、想像と真逆の望愛の態度に、呆気にとられてしまった。
「お、おう。おはよう」
「林間学校、楽しみだね! 天気もいいし、バッチリだよ!」
「あ、ああ。そうだな」
目をしばたたかせる俺に、望愛がニコニコと笑いかけてくる。
どうやら本当に、ショックから立ち直ったみたいだな。
望愛に笑い返しながら、俺は胸を撫で下ろした。




