ひとつ屋根の下――9
アルバムを見たあとは、午前中と同じようにゲームをしたり、お菓子をつまみつつ談笑したりして過ごした。
夕食後は映画鑑賞をした。作品を選ぶ際、望愛がやたらとラブストーリーを薦めてきたが、なぜだろうか?
映画が終わるころには遅い時間になっていたので、風呂に入ることにした。
「あたしはあとでいいよ。泊めてもらう立場だし」
と望愛が言ったので、先に俺が入っている。
湯船に浸かりながら、一日を振り返る。
ゲームをしたり、アルバムを眺めたり、食事を作ってもらったり、映画鑑賞をしたり……ハプニングもあったけど、楽しく過ごせた。
「最初は反対してたけど、なんだかんだ、望愛が泊まりにきてくれてよかったかもな」
天井を見上げながら、笑み混じりの息を吐く。
「お、お邪魔します!」
「ぬぉわぁ!?」
直後、素っ頓狂な声を上げてしまった。浴室に望愛が闖入してきたのだから、しかたない。
目を白黒させて、弾かれるように望愛のほうを向く。
濡れる可能性を考慮してか、望愛のサイドテールは解かれていた。ピンクの髪が下ろされ、いつもより大人っぽく映る。
なにより驚くべきは、望愛の格好。望愛は服を着ておらず、バスタオルを巻いただけの姿なのだ。
特大の胸を隠すにはバスタオルでは事足りず、北半球が露わになっている。肌色の双丘が窮屈そうにひしゃげている様は、暴力的なまでに扇情的だった。
「ななななんで入ってきてるんだよ、望愛!?」
「ノリくんの背中、流してあげようと思って……お昼ご飯、上手に作れなかったでしょ? そのお詫び」
「いいよ、お詫びなんて! ちゃんと美味かったし!」
バスタオル姿の望愛に背中を流してもらうなんて、あまりにも際どすぎる。理性を強く保っても、耐えきれるか定かじゃない。
自分と望愛の貞操を守るべく、俺は全力で遠慮する。
ブンブンと首を横に振ると、望愛がしょんぼりとうなだれた。
「あたしに背中を流されるの、嫌?」
「う……っ」
その姿が、さながら雨に打たれる捨て犬みたいで、言葉に詰まってしまう。
出会ったときからそうなのだが、望愛が落ち込んでいるのを見ると、どうにも落ち着かない気持ちになる。なんとかしてあげたいと思ってしまうのだ。
けど、背中を流してもらうのは、流石にマズいしなあ……。
『望愛を落ち込ませたくない俺』と、『不健全な行為を許さない俺』が、心のなかで取っ組み合う。
葛藤の末、俺が選んだのは――
「……妙な真似をしたら、問答無用で追い出すからな」
「うん!」
結局俺は、望愛に甘いみたいだった。




