早とちり――3
週が明けて、月曜日。
「ねえ、ノリくん? 今日、家に遊びに来ない?」
放課後、帰り支度をしていると、望愛がそう誘ってきた。
唐突なお誘いに、俺は目をしばたたかせる。
「いきなりだな」
「むかしはよく遊んだじゃん。それに、あたしがいま住んでるとこ、ノリくんはまだ来たことないでしょ?」
「まあ、たしかに」
和やかに言う望愛に、納得の頷きを返した。
望愛のお誘いは嬉しいし、どんなところに住んでいるか、興味もある。
ただ、今日は四時から行きつけのスーパーで特売セールがあるのだ。柳父家の家事を担う身として、この機会を逃したくはない。望愛には申し訳ないけど、今回は断らせてもらおう。
「悪い、望愛。今日は――」
「ノリくん」
断ろうとした俺の言葉を、望愛がニッコリ笑いながら遮った。
「遊びに来るよね?」
念を押すように、改めて口にする望愛。笑顔を浮かべてこそいるが、有無を言わせない圧力が放たれている。
冷や汗が頬を伝った。
ま、まあ、直近で必要なものはないし、セールに行かなければならないってことはないか。望愛の誘いを断ったら、大変な目に遭うような気もするし。
本能的な危機感を覚えて、俺は首を縦に振る。
「そ、そうだな。お邪魔させてもらおうかな」
「うん♪」
誘いに応じると、望愛から放たれていた圧力が消えた。プレッシャーから解放されて、俺はホッと胸を撫で下ろした。




