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何度転生しても逃げられない  作者: S@Y@


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第九十四話 本当の理由


「エレノアが守った理由……?」


 リゼリアは男を見つめた。


 ノアは警戒したまま、リゼリアの前に立っている。


「まず、名前を名乗れ。」


 男は頷いた。


「アレクシス・ヴァレン。」


「それが、俺の名前だ。」


 レオンが眉を寄せる。


「アレクシス本人……ではないんだな?」


「ああ。」


 男は少し笑った。


「私はその血を継いでいるだけだ。」


 ノアが尋ねる。


「なぜリゼリアを狙った?」


「狙った?」


 男は首を振る。


「私は、彼女を傷つけるつもりはなかった。」


「では、あの脅迫状は?」


「私ではない。」


 リゼリアが驚く。


「じゃあ、別の人が私を狙っている?」


「そうだ。」


 男の表情が険しくなる。


「私たちは、同じ秘密を追っている。」


「だが、目的が違う。」


 ノアが剣を下ろさずに聞く。


「その秘密とは?」


 男はエレノアの墓を見る。


「百年前、エレノアはアレクシスを守った。」


「それは、アレクシスがエヴァンローズ家の血を継いでいたからじゃない。」


 リゼリアが尋ねる。


「じゃあ、なぜ?」


 男は静かに答えた。


「アレクシスは、ある罪を着せられていたからだ。」


「罪……?」


「王家の宝を盗んだという罪だ。」


 レオンが驚く。


「王家の宝だと?」


「ああ。」


 男は頷く。


「だが、アレクシスは盗んでいない。」


「真犯人は別にいた。」


 ノアが問う。


「それをエレノアが知った?」


「そうだ。」


 男は続ける。


「エレノアは真犯人を知っていた。」


「だから、アレクシスを逃がした。」


 リゼリアは墓石を見つめる。


「……じゃあ、エレノアが残した記録には、その真犯人の名前が?」


「おそらく。」


 男は頷く。


「だから、記録を奪おうとする者がいる。」


「そして、その秘密を守ろうとする者もいる。」


 ノアが男を見る。


「お前は後者か。」


「そうだ。」


 男はリゼリアを見る。


「私は、エレノアとの約束を守るために来た。」


「約束?」


「いつかエレノアの血を継ぐ者が現れたら、真実を伝える。」


 リゼリアは胸元のペンダントを握った。


「それが……私?」


「ああ。」


 男は頷く。


「だから、あなたを守る。」


 その時。


 遠くから馬の音が聞こえた。


 ノアが振り返る。


「……誰か来る。」


 騎士たちが身構える。


 暗闇の向こうから、複数の人影が現れた。


「囲まれた!」


 レオンが叫ぶ。


 男の表情が変わる。


「まずい。」


「奴らが来た。」


 ノアがリゼリアの手を握る。


「俺から離れるな。」


「うん。」


 次の瞬間。


 暗闇から矢が飛んできた。


「リゼリア!」


 ノアが彼女を抱き寄せる。


 矢が二人のすぐ横を通り過ぎ、墓石に突き刺さった。


 男が叫ぶ。


「逃げろ!」


「ここにいたら、全員殺される!」


 リゼリアはノアの腕の中で息を呑んだ。


 そして理解する。


 これはもう、ただの過去の秘密ではない。


 今、自分たちの命が狙われている。

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