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何度転生しても逃げられない  作者: S@Y@


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第九十三話 エヴァンローズ家の墓地


 翌日の夜。


 リゼリアたちは、エヴァンローズ公爵家の墓地へ向かった。


 ノア、レオン、そして数名の騎士が同行している。


「本当に一人で来ると思っていたようだな。」


 レオンが周囲を見回す。


「その方が都合がいい。」


 ノアが答える。


「相手が姿を現せば、捕まえられる。」


 リゼリアは二人の間を歩いていた。


 少しだけ緊張している。


 ノアが気づいたのか、そっと手を握った。


「怖い?」


「ううん。」


 リゼリアは首を振る。


「ノアがいるから。」


「……そう。」


 ノアは少し嬉しそうに笑った。


 墓地の奥。


 古い墓石が並ぶ場所まで来た。


「ここだ。」


 公爵から聞いていた場所だった。


 エレノアの墓。


 リゼリアは墓石の前に立つ。


「エレノア・エヴァンローズ……。」


 名前を指でなぞる。


 すると。


 カチッ。


「……?」


 墓石の横から、小さな音がした。


「今の音、聞こえた?」


 ノアが近づく。


 墓石の裏を確認すると、小さな鍵穴があった。


「鍵穴?」


 レオンが驚く。


「公爵家の墓に、こんなものが?」


 リゼリアはペンダントを取り出した。


「もしかして……。」


 ペンダントの裏に刻まれた文字を確認する。


 そして。


「これ、鍵なのかもしれない。」


 ノアが受け取る。


「試してみよう。」


 ペンダントの先端を鍵穴に差し込む。


 カチッ。


 墓石の一部がゆっくり動いた。


「……開いた。」


 中には、小さな箱が入っていた。


 ノアが取り出す。


 箱の蓋には、エヴァンローズ家の紋章と、もう一つの紋章が刻まれている。


「この紋章……。」


 レオンが眉を寄せる。


「さっきの手帳にあったものと同じだ。」


 リゼリアは箱を見つめる。


「アレクシスの家の紋章?」


「おそらく。」


 ノアが箱を開ける。


 中には古い書類が数枚入っていた。


 一番上の紙には、こう書かれている。


『エレノア・エヴァンローズから、未来の子孫へ。』


 リゼリアが息を呑む。


「私たちに残した手紙……。」


 ノアが読み上げる。


『アレクシスの血を継ぐ者が、いつかこの地へ戻る。』


『その時、決して敵だと思ってはならない。』


『彼らもまた、この家の血を継ぐ者だから。』


 リゼリアは目を見開いた。


「敵じゃない……?」


 その瞬間。


 背後から声がした。


「そうだ。」


「……!」


 全員が振り返る。


 墓地の暗闇から、一人の男が姿を現した。


 これまでリゼリアたちを追っていた男とは違う。


 黒い外套を纏った、見知らぬ男。


「彼らは敵ではない。」


 男は静かに言った。


「そして、私もお前の敵ではない。」


 ノアが剣を抜く。


「なら、何者だ。」


 男はリゼリアを見る。


「私は――。」


 一歩、月明かりの中へ出る。


「アレクシスの血を継ぐ者だ。」


 リゼリアは息を呑んだ。


「……あなたが?」


「ああ。」


 男は頷く。


「そして、お前に伝えなければならない。」


「百年前、エレノアが守った本当の理由を。」


 リゼリアの胸が大きく鳴った。

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