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何度転生しても逃げられない  作者: S@Y@


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第九十一話 母を狙う者


 リゼリアたちは、急いで夫人のいる部屋へ向かった。


「お母様!」


 扉を開ける。


 そこには、夫人がいた。


「リゼリア?」


「無事……?」


「ええ。どうしたの?」


 リゼリアはほっと息を吐いた。


「よかった……。」


 ノアが部屋の中を確認する。


「失礼します。」


「何かあったの?」


 夫人が不安そうに尋ねる。


 公爵が口を開いた。


「昨夜捕らえた男から、脅迫状が見つかった。」


「私宛て?」


「ああ。」


 夫人の表情が曇る。


「何と?」


「『次は、エヴァンローズ夫人だ』と。」


「……。」


 夫人はしばらく黙っていた。


 そして。


「そう……。」


 あまり驚いていない。


 リゼリアが気づく。


「お母様?」


「何?」


「何か知っているの?」


 夫人は答えなかった。


 ノアが静かに尋ねる。


「アレクシスという名前に心当たりはありますか?」


 その瞬間。


 夫人の顔色が変わった。


「……どうして、その名前を?」


 リゼリアは息を呑む。


「やっぱり知ってるのね。」


 夫人は目を伏せた。


「……ええ。」


「何者なの?」


「それは……。」


 夫人はしばらく迷った。


 そして、小さく息を吐く。


「私も、詳しくは知らない。」


「ただ、母から一度だけ聞いたことがあるの。」


「エレノア様が守っていた人の名前だと。」


 ノアが尋ねる。


「なぜ守っていたんですか?」


「分からない。」


 夫人は首を振った。


「でも、母はこう言っていた。」


「『アレクシスが生きている限り、エヴァンローズ家は決して安全ではない』と。」


 リゼリアは眉を寄せる。


「……生きている?」


「そう。」


 夫人は頷いた。


「母は、アレクシスがまだどこかで生きていると信じていた。」


 部屋が静まり返る。


「でも、それは百年以上前の話だ。」


 レオンが言う。


「普通なら、とっくに亡くなっている。」


「ええ。」


 夫人は答えた。


「だから、私もただの昔話だと思っていた。」


 その時。


 窓の外から、何かが落ちる音がした。


 ガタンッ。


「!」


 ノアがすぐに窓へ向かう。


 窓を開ける。


 しかし、そこには誰もいない。


 ただ、窓辺に小さな封筒が置かれていた。


 ノアが慎重に拾う。


 表には――。


『リゼリアへ』


 とだけ書かれていた。


「私に……?」


 リゼリアが近づく。


「待って。」


 ノアが封筒を確認する。


「罠かもしれない。」


「でも……。」


 リゼリアは封筒を見つめる。


「開けてみたい。」


 ノアは少し迷った。


 そして。


「分かった。」


 リゼリアの隣に立つ。


「俺も一緒に見る。」


 リゼリアが封を開く。


 中から出てきたのは、一枚の紙だった。


 そこには、短い文章が書かれていた。


『お前の母親は、まだすべてを話していない。』


 リゼリアが母を見る。


 夫人は何も言わない。


 続きには、さらに一文。


『アレクシスを探すなら、エヴァンローズ家の墓地へ来い。』


 ノアの目が細くなる。


「……墓地。」


 その下には日時まで指定されていた。


『明日の夜。リゼリア一人で来い。』


 ノアは即座に紙を折った。


「行かせない。」


 リゼリアを見る。


「絶対に一人では行かせない。」


 リゼリアは頷いた。


「うん。」


 そして母を見る。


「お母様。」


「……何?」


「本当に、まだ何か隠しているの?」


 夫人は目を伏せた。


 しばらくして。


「……一つだけ。」


「アレクシスについて、母から聞いた言葉がある。」


 夫人は震える声で告げた。


「『あの人は、エヴァンローズ家の血を継いでいる』と。」


 リゼリアが息を呑む。


「……え?」


 ノアも表情を変えた。


「それは、つまり――。」


 夫人はゆっくり頷いた。


「アレクシスは……。」


「エヴァンローズ家の、もう一つの血筋なの。」

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